振り返ればロバがいる

Wikipediaの利用者であるAsturio Cantabrioによるブログです。「かんた」「ロバの人」などとも呼ばれます。愛知県在住。東京ウィキメディアン会所属。ウィキペディアタウンの参加記録、図書館の訪問記録、映画館跡地の探索記録などが中心です。文章・写真ともに注記がない限りはクリエイティブ・コモンズ ライセンス(CC BY-SA 4.0)で提供しています。著者・撮影者は「Asturio Cantabrio」です。

武雄市図書館を訪れる

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(写真)JR佐世保線武雄温泉駅

 

 8月9日と8月10日、九州北部の4図書館を回った。1日目の最後には武雄市図書館を訪れた。2016年2月以降、意識して図書館を訪れるようになってから170館目くらいで、ついに訪れることができた。

 2016年11月には海老名市立図書館を、2017年2月には高梁市図書館を訪れ、この8月には武雄市図書館のほかに多賀城市立図書館も訪れている。海老名市と高梁市の経験からTSUTAYA図書館にはわりとよい印象を持っていたが、武雄市図書館の地域資料コーナーにはがっかりすることとなった。

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(地図)OpenStreetMapより。作者 : OpenStreetMap contributor。

 

佐賀県武雄市について

 佐賀県武雄市は人口約5万人の自治体。TSUTAYA図書館の所在地では宮城県多賀城市(6万人)よりも少なく、岡山県高梁市(3万人)よりも多い。それほど拠点性のある自治体には見えないけれど、県庁所在地の佐賀市などに吸い取られているようにも見えず、佐賀県内における立ち位置はよくわからない。中心駅の武雄温泉駅には特急が停車しているし、数年後には在来線の横に長崎新幹線の駅が開業する。

 人口は1980年代をピークに減少しているけれど、備中高梁駅前のような悲壮感はない。ただ駅前にはこれといった商業施設がないし、温泉街は駅の反対側なので観光地らしさもない。駅前には4車線道路があったが交通量は少ない。駅も道も立派な割に人が少ない、不思議な駅前を歩いて武雄市図書館に向かった。 図書館までの道程にはTSUTAYAじゃないCDレンタル店があった。あとで「T.スクエアー」という名前をググったが公式サイトすら出てこない。

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(左)武雄温泉駅南口。新幹線駅になるだけあって立派。(右)駅前の立派な4車線道路。奥に武雄温泉駅が見えている。

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 (写真)CDレンタル店「T.スクエアー」。

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(左)道路脇のサインボード。(右)武雄市図書館の建物。建物より右側の「御船山」に目がいく。

 

鍵付き書棚の地域資料

 他のTSUTAYA図書館と同じように、地域資料の一部は鍵付きガラス戸の書架に入っており、わざわざスタッフに頼んで鍵を開けてもらわないと手に取れない。これらの文献の「ジャンル」が「その他 / 希少本 / 希少本」だからだ。地域資料全体における鍵付き書架の比率は、TSUTAYA図書館4館のなかで武雄がいちばん高いように感じた。一度に閲覧できるのは1つの書架だけ。読みたい文献が複数の書架に分散している場合は、何度かに分けてスタッフに鍵を開けてもらう必要がある。

 要するに、

【スタッフを呼んで書架の鍵を開けてもらう】

【スタッフの前で読みたい文献を抜き取る】(これすごく嫌)

【スタッフに書架の鍵を閉めてもらう】

【閲覧席で文献を読む】

......

【スタッフを呼んで書架の鍵を開けてもらう】

【読んだ文献を書架に戻す】

【スタッフに書架の鍵を閉めてもらう】

という作業を繰り返す必要がある。

 

武雄市図書館」について調べる

 Wikipedia記事「武雄市図書館 - Wikipedia」はTSUTAYA図書館反対派の宣伝媒体のようになってしまっており、48,000バイトという分量の割に2013年以前の記述が薄い。 初めて訪れる図書館で必ずしてるように、今回も武雄市図書館そのものについて調べ、2013年以前の記述を加筆できるかどうか探ってみた。

 手始めに『武雄市史』を探したが地域資料コーナーには見当たらない。近くのOPACで調べてみると、現代史が掲載されている中巻はレファレンスカウンターの奥の棚に1部あるだけらしい。自治体史が気軽に手に取れない場所にあるとは驚き。レファレンスカウンターに行ってみるとスタッフがいなかったので、書架の整理をしていたスタッフを呼んで『武雄市史 中巻』を手に取る。たいしたことは書かれていなかったが一部をコピーした。

 鍵がかかっていない地域資料も見た後に、鍵付き書架の攻略に取り掛かる。まずは『武雄市の教育 平成28年度版』から。図書館によるとこの文献は「希少本」扱いされているので傷などつけたら大変。おそるおそる慎重にページを開くが、案の定たいしたことは書かれていなかった。それ以外の文献にもやはり、たいしたことは書かれていない。

 一度に閲覧できる鍵付き書架は1つだけ、ということは、その都度コピーを行う必要がある。再びコピー機に向かうと、先ほどのスタッフはやはりカウンターにいない。書架の整理を行っていたスタッフをもう一度呼びつけてコピーをさせてもらった。さらに20分後、やはり書架の整理を行っていたスタッフを呼びつけて別の文献のコピーをさせてもらい、その20分後にも書架の整理を行っていたスタッフを呼びつけてまた別の文献のコピーをさせてもらった。この流れにスタッフがうんざりしているように見えたので、コピーは4回目でやめた。

 そもそも図書館に言及している文献が少ない上に、言及している数少ない文献もこの扱い。この図書館は、この自治体は、きっと地域資料なんて読んでほしくないのだろう。武雄市について調べるときは隣の伊万里市民図書館のほうが役に立つのではないかと思った(行ってないけど)。「鍵付き書架」と「書庫」、どちらが閲覧者にとって使いやすいかは悩ましいが、見えているのに自由に手に取れない鍵付き書架にはいらいらする。OPACでの検索に慣れている者にとっては、鍵付きの書架にあるくらいならいっそのこと書庫にあったほうが使いやすい。

 

貸出カードについて

せっかくなので貸出カードを作成した。Tポイントが貯まる「Tカード」ではなく「図書利用カード」を選び、何冊か借りてからすぐに返却してみた。この利用者カードは明らかにリライト式(上書き式)のデザインなのに印字はできない。

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(写真)こちらは武雄市図書館の「Tカード」。Wikimedia Commonsより。作者 : Asacyan。

 

写真撮影について

よく知られているように、TSUTAYA図書館は館内の写真撮影を禁じている。武雄市図書館の館内にはベタベタと「撮影禁止」の掲示があり、海老名・高梁・多賀城と比べて明らかに多い。

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 写真がないのもアレなので、館外から窓ガラスや植栽を撮った写真を掲載しておく。すっかり日が落ちた閉館間際に撮ったので、たまたま館内が見えている。

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