ディー・エヌ・エー(DeNA)は2017年8月9日、2017年4~6月期の連結決算を発表した。売上高に当たる売上収益(国際会計基準)は前年同期比4.8%減の364億5500万円、営業利益は同13.0%減の63億9600万円だった。主力のゲーム事業の業績は期初の見通し並みの実績だったが、EC(電子商取引)事業で一時的な費用が発生したことなどが影響した。小学館と共同で実施するネットメディア事業について守安 功社長兼CEO(最高経営責任者)は、再開を決めた「MERY」の状況によって今後の展開を判断する考えを明らかにした。

EC、自動車向けサービス、ヘルスケアなどの中から「長期的にはゲーム事業に匹敵する事業の柱を複数作っていきたい」と話す守安社長。成長の柱にメディア事業は含まないという
EC、自動車向けサービス、ヘルスケアなどの中から「長期的にはゲーム事業に匹敵する事業の柱を複数作っていきたい」と話す守安社長。成長の柱にメディア事業は含まないという
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 事業区分(セグメント)別の主な業績は、ゲーム事業の売上収益が242億9400万円(同7.1%減)、セグメント利益が73億4900万円(同7.0%増)、EC事業が売上収益39億5400万円(同14.7%減)、セグメント損失は5億3400万円(前年同期は4億2200万円の利益)、自動車関連サービスや従来のキュレーションメディア事業などを含む新規事業・その他は売上収益が21億1200万円(同7.9%減)、セグメント損失が13億6800万円(前年同期は11億8300万円の損失)など。

 ゲーム事業についてはブラウザー向けタイトルのユーザー消費額(ゲーム内課金額)が前年同期比で減少したが、スマートフォンアプリとして提供しているタイトルは任天堂と協業タイトルである「スーパーマリオ ラン」などが好調だった。

 ネット記事をまとめるキュレーションサイトを中心に運営していたメディア事業については、2017年8月3日に小学館と共同出資会社を設立して再開することを発表済み。記事の編集や制作の具体的な方法について、守安社長は「方針がまとまったら発表する」と説明した。ただ、「(不特定多数の書き手に執筆を発注する)クラウドソーシングや、一般消費者からの投稿は活用しない。一般のメディアと同様と考えてほしい」と述べた。「記事の編集、校閲など、我々が持っていない能力は小学館の力を借りて、新しい健全なメディアを運営していきたい」(同)。

 MERY以外にも記事を全て非公開にした9つのキュレーションサイトについては、「MERYが成り立てば、既存のブランドを使い続けるかどうかを含めて判断する」(守安社長)。ただし医療情報サイトの「WELQ」については、「このジャンルを継続するのは難しいと考えているので対象外」(同)とした。