オンラインショッピングが増加の一途を辿っています。何と言っても速いですし、時には一晩で商品を届けてくれたりも。ですが、オンラインショッピングを利用していると、店に行って商品を選んでいたころが、ふとなつかしくなったりもします。そんな方は、仮想現実(バーチャルリアリティ:VR)ショッピングを試してみましょう。VRショッピングが目指しているのは、オンラインショッピングの便利さと、実店舗にいるかのような体験を、利用者に同時に提供することなのです。

VRを介したショッピングはすでに開始されつつありますが、今のところはまだ初期段階といったところです。2016年の後半に中国のAlibabaが発表したBuy+は、VRヘッドセットでアクセスするVR体験です。

Video: Alizila/YouTube

Buy+では、ユーザーは店内を歩きまわって商品を吟味し、ほしいものをカートに追加することでショッピングができます。VICEの記事によると、ローンチの1時間後には、早くも3万人がBuy+を試していたそうです。

VRショッピングを利用するには、当然VRヘッドセットが必要になります。VRヘッドセットには、価格10ドルで買えるモバイルVRのGoogle Cardboardから何百ドルもするハイエンドヘッドセットのOculus Riftまでさまざまなものが。VRヘッドセットを用意したら、あとはオンラインショッピングと同じように、仮想のショッピングカートに商品を追加して、チェックアウト時にクレジットカード情報を入力すれば購入ができます。

今年になって、オンラインショッピング大手のAmazonなどもVRショッピングに取り組み始めたそうです。2016年5月に家具メーカーのIKEAは、ユーザーがHTC Viveを使ってキッチンを独自にデザインできるようにしました。自動車メーカーのAudiも、HTC Viveを活用したVRショールームの展開を開始しています。

また、eBayオーストラリアは2016年5月に、同国デパートのMyerと組んで「世界初のVRデパート」をローンチしました。といっても、実店舗を模したというよりは、VR空間内にアイテムが絡み合って浮遊しているようなつくりです。

Video: eBay Australia/YouTube

そして2017年6月には、オーストラリアにIKEAのVRショッピングであるIKEA Virtual Storeが登場しました。読者の皆さんも、Android、iOS、およびデスクトップで、その体験を自分の目で確かめることができます(ただし、デスクトップ版はVRに対応していません)。

IKEA Virtual Storeは、没入性を高めたGoogleストリートビューといった趣です。ユーザーは、店内を歩きまわり、家具の間を通り抜けたりもできます。浮遊する青い点で印がつけられた商品を選ぶと説明と価格が表示されます。ただし、ほとんどの家具には印がついていないので、タグを拡大して、あとで検索するよう自分に言い聞かせる必要も出てくるでしょう。

そして、トップ画像のGatsbyなどのスタートアップ企業も、VRストアを手がけたりとVRショッピング体験の構築を試みています。

Gatsbyの共同設立者であるAnastasia Cifuentes氏は「私たちが目指しているのは、そこに存在するかのような感覚に近づくことです。ショッピング体験を親密なものにしたいのです」と言っています。「ユーザーの動きに関する細かい部分の1つ1つに対しても、私たちはそれを最適化する方法に全力を注いでいます」

GatsbyはVRへのアプローチを開始してまだ半年足らずですが、同社は今年の秋にアプリをローンチしたいと考えています。Gatsbyのショッピングアプリを利用して家具を買う感覚は、まるでゲームのようです。ユーザーは、定点から部屋を見回します(空間内を動き回ることはまだできません)。使い方は簡単で、商品選択でサイズや価格などの説明を表示、さらにクリックして商品を回転させて見ることも可能、他のサービスと同じようにカートに追加して購入ができます。Gatsbyのサービス利用は無料で、必要なのはVRヘッドセットだけです。

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Image: Gatsby

筆者が試したデモは、実物の写真に基づくものではなく、アニメーション化されたものだったのでリアルさという点では物足りなさも感じました。ただし、このアプリはまだ開発途中なので完成の暁には、本物の商品や部屋の写真を使いたい、とGatsbyは述べています。

「オンライン化は物事を効率化しますが、そこに向かう中で私たちは何かを失いもしました。モノを手に取れるということです」とCifuentes氏は言っています。さらに「家具のように、実際に店に行って目で見て手で触るべきものは、今も存在しているのです」とも。

VRは実際のショッピング体験を完全に再現するものではありませんが、そこにどんどんと近づいていることは確かです。また、低価格化と利用しやすさも進んでいます。今や、スマホと10ドルのGoogle Cardboardセットがあれば、あなたもそれを体験できるのです。

Virtual Reality Is the Future of Shopping | Lifehacker US

Image: Gatsby

Source: Gatsby, YouTube(1, 2), VICE, Variety, BGR, Fortune, eBay, IKEA