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戦車やトーチカの内部なども見られるベラルーシの軍事博物館「スターリン・ライン ミュージアム」に行ってきた。戦車にしがみつく本気のタンクデサントを体験
超重戦車マウスが展示されているクビンカなどのように,希少な戦車が展示されているわけではないが,実際に戦場となった場所に作られた施設なので,戦車以外にも貴重なモノがたくさんある。
ベラルーシへと訪れた目的は,Wargaming.netの開発オフィスを訪れることだったのだが,同社とも少なからず関わりのある「スターリン・ライン ミュージアム」へと連れて行ってもらった。
展示物に触れたり,乗ったり,撃ったりといったことも可能で,筆者が終始「すごーい!」「たーのしー!」と語彙力を失って大興奮した本ミュージアムを紹介しよう。ちなみに4Gamerがここを訪れるのは2度めであり,1度めはWargaming15周年記念イベントのときだった。そちらも合わせてチェックして欲しい。
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「World of Tanks」公式サイト
「World of Tanks Blitz」公式サイト
ベラルーシの首都ミンスクにあるのは西部要塞線で,北はバルト海から南は黒海までの全長約1200Kmもある要塞線の一部があり,破壊を免れたトーチカなどが現存している。余談だが,極東にもスターリン・ラインは構築されていたらしい。
要塞線といえばフランスのマジノ線が有名だが,スターリン・ラインはあれほど強固な要塞ではなく,どちらかというと野戦陣地に近いかもしれない。
スターリン・ライン ミュージアムでは野外展示されているものが殆どで,敷地はかなり広い。
トーチカの入り口。防御用の銃眼があり,侵入者を撃退する |
分厚い扉で閉じられるトーチカには通風孔がある。鉄の網は手榴弾などの投擲物防止だろうか |
砲座はこんな感じ。マネキンを用いた再現部屋がある |
外部偵察用のペリスコープ,今でも使え,外の様子をうかがえる |
砲弾架 |
薬莢を捨てる穴 |
砲座から穴までスロープがあり,撃った後の空薬莢が勝手に転がり落ちていく仕組み |
76.2mm砲弾のレプリカ。結構でかいんです |
トーチカ入り口にある銃架 |
先ほどのペリスコープ。地上にぴょこっと出ている |
ドイツ式機関銃陣地 | |
ポーランド式偵察陣地その1 |
ポーランド式偵察陣地その2 |
国境線に貼られていた有刺鉄線と物見台が再現されている |
戦後に開発されたS-60 57mm対空機関砲。これもグルングルン回せる |
T-26の砲塔を利用したトーチカ |
機関銃トーチカの入り口 |
詳細不明の偵察陣地 |
発射する瞬間 |
拡大しても分かりにくいが赤色の信号弾を発射したところ。信号弾の色や数で味方に合図を送っていたそうだ |
タンクデサント体験
今回搭乗できたのは水陸両用戦車として知られる「PT-76」だ。1951年から量産されているという本車両は今なお改良されながら使用されているというが,今回のはMとかBとか付いた改良型ではなく初期型だ。
筆者は砲塔上部,ハッチをあけた淵に座った。発進前にガイドが注意事項を説明。いわく「絶対に手を離さないように。いいか。揺れが少なくなっても絶対に離しちゃだめだ!」だそうだ。とはいえ,観光客向けの戦車搭乗体験なので無茶はするまい。ちなみに操縦するのはガイドの彼で,戦場の巨大ジオラマを走行する。
無茶はするまいという前置きをした時点で,察しのいい読者諸君は分かったかもしれないが,かなりの無茶をしてくれた。障害物まで用意された不整地を走行するため,左手で何かよく分からないフックをしっかりと握っていたのだが,右に左に大きく揺られ,ときにはお尻が浮かび上がるほどの振動を受ける。例えるなら安全バーのついてないコースターが延々と続く感じ。頼むから降ろしてくれと本気で思った。
そのときの動画を必死の思いで撮ったので興味のある人は見てほしい。
おそらくかなり貴重な体験ができたとは思うが,正直,2度と乗りたくない。ほんとに軽く「死ぬのかな。おれ。」と思ったくらいだ。
あとで聞いた話だが,ガイドが「普通はもっとゆっくり走るけど,今回は特別に全力の80%くらいで走ったよ」と言っていたらしい。マジか。
第2次世界大戦でソ連軍以外にタンクデサントでの突撃をしない理由がよく分かった気がする。
ライターの徳岡氏が行ったボービントン戦車博物館の戦車搭乗体験のように,動く戦車に乗れる機会は世界だけでなく日本国内でも結構ある。それは砲塔の後ろにしっかりとした搭乗スペースが用意されていたり,砲塔が取っ払われて座席になっていたりと遊園地のアトラクションのような感じで,平坦な道を走ってくれる。そこまで危なくないはずなので,戦車に乗る機会があればぜひ乗ってみてほしい。
戦車整備場
決死のタンクデサントで訪れたのは,スターリン・ライン ミュージアム内にある戦車整備場。ここでは動態保存されている戦車の整備と保管などが行われている。
この整備場に収められていたのは,T34-76同様に,Wargamingのスペシャルプロジェクトでレストアされた「KV-1」だ(関連記事)。World of Tanksでもお馴染みの重戦車である。
Wargamingのスペシャルプロジェクトを担当しているAlexander Bobko氏に話を聞く機会があったので,スペシャルプロジェクトについて紹介しよう。
Wargamingにおけるスペシャルプロジェクトは,ありとあらゆるものがその範疇に含まれる。ドルフ・ラングレンさんとのコラボだったり,ウォーメタルバンドのSABATONとのコラボだったり,今回のような戦車のレストアだったりだ。
すべてが重要でユニークなものだが,その中でも特に兵器のレストアというのは興味深い。ボービントン戦車博物館でのタイガー131や,スターリン・ラインのT34とKV-1,北海に沈んでいたDo17,センチネル戦車のオーストラリア帰還事業など,歴史的に有意義なプロジェクトを行っている。
一見,ゲームとは関係ないことに見えるが,スタンスとしてプレイヤーが知ることができる環境を整えることは,ゲームを楽しむことにもつながる,ということらしい。確かにバックグラウンドを知れば,ゲームは面白くなるので納得できる。
III号突撃砲 |
Pz.Kpfw. 38(t) |
T34-76 |
歩兵戦闘車BMP-1 |
World of Tanksとは関係ないが空挺戦闘車両BMD-1 |
……PT-76 |
快速戦車BT-7 |
というわけで,スターリン・ライン ミュージアムを様々な面から見てみたが,旧ソ連の一部だっただけあって,東側諸国の兵器がずらりと並ぶ。戦車だけじゃなく,対空ミサイルやレーダー,輸送車両まであるのがここの面白いところだ。
実際に戦ったトーチカの内部が見られる場所というのもそんなにないだろう。ベラルーシを訪れる際は,スターリン・ライン ミュージアムに立ち寄ってみると幸せになれるかもしれない。
ZSU-23-4 |
SD-44 85mm砲 |
D-48 85mm対戦車砲 |
MT-12 100mm対戦車砲 |
D-30 122mm榴弾砲 |
45mm対戦車砲 |
D-1 152mm榴弾砲 |
ZIS-2 57mm対戦車砲 |
ZIS-3 76mm対戦車砲 |
BM-13 通称「カチューシャ」 |
BM-14-16(左)とBM-21 Grad(右) |
ISU-152 |
IS-3 |
T-55MB |
T-80B |
122mm自走砲 2S1 Gvazdika |
152mm自走砲 2S3 Akatsiya |
203mm自走砲 2S7 Pion |
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