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- 2017/06/15 掲載
アレキサンダー大王に学ぶ戦略論「同じ夢に向かって挑戦し続ける集団は無敵だ」
明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科教授。リクルートワークス研究所特任研究顧問。1957年東京都生まれ。一橋大学商学部卒業後、野村総合研 究所入社、92年経営戦略コンサルティング室長、経営コンサルティング部長、01年退社。多摩大学経営情報学部教授、リクルート新規事業担当フェローを経 て、08年から現職。TOKYO MX『モーニング CROSS』に出演するほか、『ダイヤモンド・オンライン』にて「40代からの人生の折り返し方」を連載中。
古典的戦略と経営戦略の違い
この点は、現代の経営戦略とは随分違っています。現代の経営戦略は、経営者のためにあるのではありません。社員のため、企業全体のため、株主のためにあるものです。
誰のためにあるのかは別として、古典的戦略には直感的な分かりやすさがあるうえに、長い歴史に裏づけられた実例の多さもあって学ぶべき点がたくさんあります。
そもそも戦いの本質には変わらない部分があり、そこに古典的戦略を学ぶ意義があるのです。
硬直化した戦いの定石を根底から覆す
アレキサンダー大王はギリシア北部の古代王国「マケドニア王国」の君主で、ギリシア、ペルシャ、エジプトといった列強を征服し、インドにまで遠征して版図を広げた伝説的な英雄です。
単なる豪傑ではなく、さまざまな戦略を駆使した知将でもありました。硬直化した戦いの定石を根底から覆し、新しいアプローチを大胆に導入したのです。
象徴的なのは、圧倒的な海軍力を誇っていた宿敵、ペルシャとの戦いでした。
ペルシャの海軍力の中核は、200隻以上の大艦隊。定石に沿って考えれば、これを打ち破るために200隻以上の大艦隊で対抗する、となるでしょう。
でも、その頃のマケドニアの国力に照らすと、大国ペルシャの大艦隊をしのぐ大艦隊を揃えるのは大変困難でした。
ヒト・モノ・カネといった資源が限られている中、戦いに勝つにはどうしたらよいか。考えたアレキサンダー大王は、得意の「陸戦」を駆使。沿岸にある敵の艦隊給水地を、ことごとく制圧していったのです。
いかに強靭なペルシャの大艦隊でも、船乗りや兵士たちに真水が供給できなくなると、まるで機能しません。アレキサンダー大王は、自軍の強みを活かした戦略で、敵の強みを無力化することに成功し、見事、戦いに勝ちました。
【次ページ】アレキサンダー大王が優れていた「勝った後のマネジメント」
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