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  • 2017/06/06 掲載

ガートナーも驚くストレージ変革期、SSAやSDS、HCISをどう使いこなせばいいのか

ガートナー 鈴木 雅喜氏が解説

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今ストレージの世界に、大きな変革の波が押し寄せている。急速に進む仮想化やクラウドへの移行、さらにストレージ技術そのものの革新が、未曾有の変化を引き起こしていることは間違いない。EMCを買収したDell Technologies、NetApp、Hewlett Packard Enterprise、IBMらはどういう動きを見せているのか。また、SSA(ソリッド・ステート・アレイ)やSDS(ソフトウェア・ディファインド・ストレージ)、ハイパーコンバージド統合システム(HCIS)などの必須テクノロジーの特徴もつかむ必要がある。今後の自社ストレージ戦略におけるヒントと選択の可能性を、ガートナー リサーチ バイス プレジデント 鈴木雅喜氏が解説する。
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ストレージ大変革時代が訪れている

(© Cybrain – Fotolia)

※本記事は、「ガートナーITインフラストラクチャ&データセンターサミット2017」の講演内容をもとに再構成したものです。

かつて経験したことのないストレージの変革期が来ている

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 ストレージを取り巻く現在の状況を一言で言うと、まさに未曽有の変化の一言に尽きる。かつてこんな劇的な変化を、私たちは経験したことがない。

 最大の原因は、やはりクラウドの拡がりだ。また、新しいタイプのアプリケーションは、まずクラウドで提供されるようになっている。こうしたエンタープライズITの包括的な変化の中に、ストレージもあることは間違いない。

 またハイパーコンバージド統合システムと、そのコア技術であるSDSの登場は、ストレージの概念そのものを刷新しつつある。

 加えて、ストレージ技術そのものの進歩も大きい。データ圧縮や重複排除技術が一般化したことにより、ストレージのデータ容量を大幅に削減できるようになった。

今後の動向に注目したい国内外のストレージベンダーは?

 こうした大変革の中で、主だったストレージベンダーはどのような動きを見せているのだろうか。外資系主要ストレージベンダーから見ていこう。

Dell Technologies
 2016年9月に、米国のデルとEMCが合併して誕生した。注目したいのは、ストレージ専業ながら非常に戦略的だったEMCが今後どのように進んでいくかだ。一方、デルはEMCを得て、これまで以上にストレージ市場での影響力を強めていくことができるだろう。

NetApp
 ストレージ業界では1990年代初頭に登場した新興ベンダーだったが、急速な成長を遂げ、世界市場第2位の地位を築いた。とはいえ、フラッシュストレージの登場以降は独自性が薄れ、既存のベンダーの1つとなっている印象もあり、去就に注目したい。

Hewlett Packard Enterprise(HPE)
 2015年の分社化の結果、ITインフラへの注力がより高まっている。だが一方で、トレンドはインフラだけの話ではなくなっている。そうした意味でも、クラウドやストレージの考え方そのものを、今後どうとらえていくかが問われるところだ。

IBM
 ストレージ事業を維持すると言明してはいるが、世界的なストレージ市場の縮小の中で、同社もやはり縮小傾向にある。だが日本のストレージ事業は依然順調で、高成長と利益を確保している。背景には、優れたビジネスモデルやサポート体制の存在が挙げられる。

オラクル
 オラクルは、ハードウェアにもフォーカスしていくとの方針を示しているが、その売り方はハードウェア単体を売るのではなく、あくまで統合システムやクラウドというソリューションを売るというスタンスなので、ストレージ市場の中ではやや立ち位置が異色だ。

 次に、国内の主なストレージベンダーとしては、日立、富士通、NECの3社が挙げられるが、共通して言えることは、SSA/SDS市場で出遅れている点だ。また日本の企業は事業部門間の壁が厚く、ストレージ事業もその枠組み内で完結する傾向が強い。このため新規市場への展開が遅れた場合、今後のビジネスの展開に大きな影響を及ぼす懸念がある。

これからのストレージ選定の考え方

 国内外の状況を俯瞰してわかるように、現在、すべてのストレージベンダーが新しい方向に向かっている。これまでストレージ事業といえば、「ストレージ」というハードウェア主体の製品の販売がビジネスの主眼だった。

 だがこれから先は、クラウドを含めたデータ管理や、柔軟な構成を持ち簡単に導入・活用できるITインフラの提供。さらにはストレージ/データに関する新しいテクノロジーの活用方法など、ストレージという範疇を超えた、より大きな視点からのソリューション提案が求められてくる。

 こうした時代にストレージをビジネスに導入・活用する立場として、ITリーダーは「このストレージベンダーなら絶対安心!と言えるベンダーは存在しない」ということを、ぜひとも認識しておいてほしい。

 従来型のストレージとは異なる選択肢が、この先には必要になってくる。最新のテクノロジーを常に念頭に置きながら、自社に必要なストレージソリューションを冷静に検討していくべきだ。

今後3年間、自社ストレージの方針についての調査結果とは?

 日本企業のIT部門が向こう3年間、自社保有のストレージに対してどのような方針を持っているかという調査を行った結果、実に70%の企業が自社で保有するストレージに対して、引き続き注力していくと答えている。

画像
IT部門の自社保有ストレージに対する今後3年間の方針
(出典:ガートナー)


 しかしガートナーでは、日本において自社保有のストレージに注力を維持・強化するスタンスを持つIT部門は、全体の半数未満まで減少するという仮説を立てている。

 その理由の1つ目は、簡単に導入/管理できるストレージ製品の登場や、フラッシュ/次世代メモリの普及で記憶容量当たりの単価が下がり、容量やパフォーマンス不足に管理者が悩まなくて済むようになること。2つ目は、デジタルビジネスや新しいテクノロジーの優先度が高まり、これまでのようにストレージだけに注力していられる状況ではなくなることがある。

 今後インフラ担当者の仕事は急速に増えていく。IoT、クラウド、セキュリティなど次々に重要な課題が出てくる中で、現在ストレージに集中しているエネルギーやリソースを、どこまで維持できるだろうか。今後3年くらいのスコープで、自社の保有ストレージを見直し、最適化していく計画を今から考えておかなくてはならない。

【次ページ】ストレージ戦略立案のための3つのポイント

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