ドイツ銀行がいまフィンテックに力を入れる理由 —— VCは投資から手を引き始める

ドイツ銀行の外観

Flickr/dustpuppy

ドイツ銀行は、フィンテックの成長を確信している。

同行は、フィンテック系スタートアップに出資しているほか、ニューヨークの金融街に4カ所目となるイノベーションラボを開設した。同行のウェブサイトは、大部分がデジタルバンキング関連だ。

そして今度は、フィンテック企業へのアドバイス業務の強化に着手した。

ドイツ銀行は、トマソ・ザノビニ(Tommaso Zanobini)氏をニューヨーク拠点のフィンテックグローバル責任者に登用した。同氏は最近まで、証券会社のジェフリーズでフィンテックとサービスのグローバル責任者を務め、以前は、バークレイズでITサービス部門グローバル責任者を担当していた。

ドイツ銀行のフィンテックグループは、金融機関グループ(financial institutions group, FIG )とテックーメディアーテレコム・グループ(tech-media-telecommunication group, TMT)によるジョイントベンチャーで、ザノビニ氏は、金融機関グループの専門家セレステ・グース(Celeste Guth)氏とテックバンカーのマーク・キーン(Mark Keene)氏の指揮下に入るようだ。また、アメリカのフィンテック責任者 ラフール・シングラ(Rahul Singla)氏とヨーロッパ責任者 Vipin Chhajer氏と共に働くことになる。

ザノビニ氏は、ドイツ銀行が金融機関グループで雇用した4人目のマネージングディレクターレベルの人材となる。

彼の登用は、フィンテック業界にとって、興味深い時期に行われた。モルガン・スタンレーは5月、2012年から2016年にかけてフィンテック系スタートアップに1170億ドル(約1兆3000億円)を投資したベンチャーキャピタルが、手を引き始めていると報告した。一方で、既存の金融機関はフィンテック分野への投資を増やしている。

「金融、決済の既存企業は積極的で投資も加速させている。そして、手を引き始めたベンチャーキャピタルと既存の金融企業による積極的な動きは、投資利益率において既存企業の方に恩恵があるというパラダイムシフトを象徴している」とモルガン・スタンレーは分析した。

[原文:Deutsche Bank is making a big bet on the future of finance

(翻訳:梅本了平)

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