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過去5年間で、日本のGDPは2兆ドル(約220兆円)縮小し、人口は100万人減少した。
アメリカが移民労働者の受け入れと仕事環境の柔軟化を怠ると、2、30年後には日本と同じようになる可能性がある。
専門家は、現在の日本のような状況を「人口時限爆弾」と呼んでいる。出生率の低下と、平均寿命の伸びが同時に起きている状況のことだ。高齢層を支える若年層の人口が減ると、経済は縮小し、若年層はますます結婚しづらくなり、出費を控えてしまう。
日本は極端な例だとハーバード大学の社会学者メアリー・ブリントン(Mary Brinton)氏は述べた。しかしUBSの2016年のレポートによると、アメリカなど先進国における生産年齢人口と、それ以外の人口の比率は、1990年代の日本の比率に極めて近づいてきている(編集部注:生産年齢人口とは、生産活動の中核をなす人口を指す。日本では15歳以上65歳未満の人口層)。
低成長・低インフレへの移行による世界経済の「日本化(Japanization)」現象は、近年、投資家の関心を集め始めていると、UBSのレポートは記す。
「過去20年間、日本経済の名目GDPはほとんど成長していない」
生産年齢人口の比率。緑:日本、黒:アメリカ、紫:中国、青:アジア平均、赤:ヨーロッパ平均、黄:世界平均。日本は1990年にピークを迎えた。他は2005年〜2025年ごろにピークを迎える。
UBS
とはいえ、2030年代のアメリカに悪いことばかりが起きるとは限らない。
日本が直面している問題の多くは、その労働環境が原因だ。長時間労働が当たり前で、国は移民労働者を受け入れようとしない。日本で働くのは、日本で生まれた若者たちだ。
一方、アメリカでの働き方は日本に比べるとより柔軟で、より短時間だ。これは移民労働者にとってもより好都合。
しかし、移民政策の引き締めによって、この流れが変わり、大きな経済的損失を引き起こす可能性がある。今年3月、ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)は、リタイアするベビーブーム世代(現在56~72歳)に代わる新たな移民労働者を受け入れない限り、アメリカの労働者人口は増えないと予測した。新たな移民労働者が、2035年に向けて労働者人口を増加させる唯一の手段になるだろうとした。
日本とは異なり、アメリカの人口は増えている。しかし重要なのは伸び率だ。人口の増加が遅すぎると、アメリカ経済は労働力不足に悩まされることになる。日本では高齢層を支える若年層が不足しており、家庭もその影響を受けている。アメリカは同じ状況に陥らないためにも、移民労働者に頼らざるを得ないだろう。
[原文:Japan's demographic time bomb is a bad omen for the US]
(翻訳:Satoru Sasozaki)