住まいのプロが提案「イエコト」/プロが提案!住まいのヒント

住宅売主の説明にも「表現の自由」がある!?

購入を検討する物件の住環境などについて、売主から話を聞くケースは多いでしょう。しかし、騒音などに対する感じ方や考え方は、個人の主観に大きく左右されます。表現の仕方も千差万別ですから、自分自身で確認することも考えなければなりません。

執筆者:平野 雅之

たとえば騒音問題、「まったく音がしない」と答えれば虚偽の説明だが…

あるときテレビ番組で、中古マンションを購入した若い夫婦が騒音被害を紹介していました。マンションの1階で営業している飲食店のカラオケの音に悩まされ、入居して間もないうちに転居を余儀なくされた、という内容のものです。

先に入居している店舗などから発生する騒音を、後から入居した人が阻止することは、現実問題として極めて困難というか、ほとんど不可能です。それではどうすればよいのかといえば「その物件を買わないこと」というほかありません。

物件を購入しようとするときに、下の階やすぐ近くに飲食店や工場などがあれば、その騒音や振動はないのか、臭いはしないのかなど、ほとんどの人が気にします。

ところが、売主や仲介業者に話を聞いて「あまり気にならないですよ」と答えられると、不思議なことにそれで納得してしまう人が大半のようです。

騒音や臭いを感じる度合いは人によってかなり違いますし、そもそも売主はその部屋を売りたいわけですから、間違っても「こんな部屋、住めたもんじゃないですよ」などと答えるはずもありません。

「まったく音がしない」と答えれば虚偽の説明、告知になるような問題でも、「気にならない程度の音」だと答えられればそれが嘘だとはいえないのです。売主の主観に左右される内容は、購入希望者に対する説明にも「表現の自由」があると考えるべきでしょう。

自分が住むことなく第三者に貸していた住宅の売主であれば、問題点の存在すら知らないこともありそうです。

土地や一戸建て住宅であれば、晴れの日・雨の日の確認も!

また、売主から売却の依頼を受けた仲介業者なら、問題点を過小に表現することはあり得る話ですし、売主が黙っていれば仲介業者は気付かないこともあるわけです。仲介業者がしっかり調べるべきだとはいえ、なかなか調べきれないような問題も存在するのが現実です。

購入を検討する物件の現地には、平日・休日だけでなく、昼間・夜間などにも訪れて、気になるところは「自分の目と耳と鼻」で慎重に確認することをお勧めします。

さらに、土地や一戸建て住宅であれば、晴れの日・雨の日の確認もできるかぎりしておきたいところです。なかなか思いどおりにはいかないでしょうが……。

それでトラブルが完全に防げるというわけではありませんが、現実に起きているトラブルでも予防が可能だったものは多いはずです。


>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2006年9月公開の「不動産百考 vol.3」をもとに再構成したものです)


関連記事

購入検討物件の現地は朝夕にも確認しよう!
深夜に豹変した混在住宅地
コンビニが隣にあるマンションの意外な盲点

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます