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2017年5月18日(木)

童話作品とともに生まれた、幻想的なタイトル『Light~ヨルの採掘鉱』【A 5th Of BitSummit特別企画04】

文:電撃PlayStation

 今年で5回目を迎える日本最大級のインディーゲームのイベント“A 5th Of Bitsummit”。5月20日、21日の2日間にわたって京都の”みやこめっせ”で開催されるBitSummitの特別企画をお届け!

『bitsummit』
▲発売中の電撃PS Vol.638では “ビットサミット”を特集。こちらも要チェック!

⇒電撃PSのインディーイベント特集記事の詳細はこちら

 本記事は、電撃が注目する出展者の方々に、今回の出展タイトルや開発秘話などをインタビューしていく特別企画の第4回。今回は、幻想的な作品を制作中の個人ディベロッパーZato氏に、現在の制作状況などを語ってもらった。

Zato紹介

 ボーカロイドの楽曲制作などを経て、趣味でインディーゲームを作り続けている期待の個人ディベロッパー。2016年に開催された東京ゲームショウで『Light~ヨルの採掘鉱』を出展。スマホゲームを中心にインディータイトルを紹介しているブログ”ゲームキャスト”で取り上げられたことで、インディー界隈で話題となる。現在、完成に向けて本作を鋭意製作中だ。

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▲『Light~ヨルの採掘鉱』のイメージビジュアル。ゲームへの期待が高まっていくような幻想的な雰囲気の美しいイラストだ(イラスト:リサナカムラ)。
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▲”小説家になろう”に掲載されている『ヨルの採掘鉱~midlow jewel mine』では、同じ主人公による別の物語が描かれている。

Zatoインタビュー

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▲Light~ヨルの採掘鉱/対応ハード:未定/

──Zatoさんが現在制作されている『Light~ヨルの採掘鉱』ですが、小説投稿サイト”小説家になろう”で同名の『ヨルの採掘鉱~midlow jewel mine』という小説を掲載されていますね。この2作品は、どういう関係になっているのでしょうか?

Zato氏(以下、敬称略):片方が原作というわけではなくて、両方とも並行して作っていました。もともと2、3作ほどゲームを作っていたのですが、以前ノベルゲームを作ったときに、大元のあらすじを書くのに小説の形が一番やりやすかったんです。それで、最初に自分のなかのイメージを固めるために”小説家になろう”へ、小説とイラストを投稿したわけです。

──ストーリーは、どちらも同じ内容ですか?

Zato:違います。以前、作っていたゲームを東京ゲームショウに出展したのですが、その作品はノベルゲームだったこともあり、海外の人には全然理解できていませんでした。

 そういうこともあり、今作は会話がありません。今自分は、ゲームを遊ぶうえで、シナリオはジャマになるのではないかと考えているんです。遊ぶこととシナリオを追うことがかみあわないと思い、小説のほうは気にしない形でゲームは作ってます。

──ゲームは、どのようなものになるのでしょうか?

Zato:なかなか難航しているのですが、自分が好きな『風ノ旅ビト』や『ワンダと巨像』といったタイプのゲームを考えています。音楽とイメージビジュアルだけはTwitterで交流した人たちに作ってもらっているのですが、ゲームそのものは全部1人で作っています。制作エンジンのUnityはすごく充実していることもあり、1人のほうがブレないんですよね。

──”小説家になろう”に投稿された作品には挿絵がありましたが、あれもご自身で描かれたのですか?

Zato:ツールを使って描きました。といっても、絵はあまり得意ではありません。今はフリーのツールがあるので、それらを使いながら作っています。

──先ほど『風ノ旅ビト』や『ワンダと巨像』といったタイトルを挙げていましたが、つまりはセリフなどの言語がない作品になるということでしょうか?

Zato:そうですね。昔のゲームは表現力が乏しかったこともあり、数字や文字で情報を補足していたところがあったと思うんです。でも今は、そうした補足情報なしに、ゲーム自体を表現できるようになっている。

 たとえば『風ノ旅ビト』だと、マフラーがRPGのMPに相当する役割を担っていますよね。ゲーム内にしっかりと落とし込めている。そうしたことを自分も表現できればと思っています。

──そうすると操作もシンプルになりそうですね。

Zato:昔のゲームはボタン2個程度で成立していたので、自分もボタン2個くらいで収まるゲームにしようと考えています。明かりをつけながら、フィールドを歩いていく……。

 ゲームのおもしろさが何かと考えたら、やっぱりボタンに対してのアクションだと思うんです。今だいたいのゲームは、剣を振る、たたくといったものになっていると思うんですが、それを変えたかった。ただ、どうすればいいのかは、今まだ試行錯誤をしているところです。

──バトルなども、まったくないんですか?

Zato:最初はそういう要素を作ったりもしたのですが、あまりデキがよくなかったのでやめました(笑)。最初は2Dで作っていたりもしましたが、Unityの3Dに変えてからは、今の形に落ち着いた感じです。

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──ゲーム作りを始めたのはいつごろからですか?

Zato:まだ2、3作目なので、5年くらい経ちます。じつはゲーム作りを目指していたわけではなく、最初はボーカロイドで曲を作って公開していました。ところが全然ヒットしなくて……(笑)。そのときにMiliさんというアーティストの方にご協力いただいて、ノベルゲームを完成させることができました。

──Zatoさんの作品は”ゲームキャスト”さんというブログで知ることになったのですが、そこで取り上げられてから周りからの反応はいかがでした?

Zato:”小説家になろう”のほうは、自分の作品としては驚くくらいアクセス数が増えました。ただ、ゲームのほうはまだほとんど情報を出していないので全然ですね(笑)。

 とはいえ個人でひっそりとやっているので、十分かなとは思っていますけど。ボカロからの流れのため、インディーゲームを作っているという実感が今もまだあまりなく、ニコニコ動画に投稿していた延長という感覚なんです。

──その感覚が逆によいのかもしれませんね。本作はビジュアルのインパクトがあって、すごく興味をひかれる作品になっているのではないのでしょうか。

Zato:たぶん、あんなに画面が真っ暗なゲームってあんまりないですよね(笑)。雰囲気作りという意味でも夜にしていたのですが、じつは絵作りという点において、どこか1カ所を白か黒にして、そこを反転させると注目されるという手法があるんですよ。

 そうした手法をゲームにも応用して、周囲は暗いけれど主人公は常に光っていて、視点が常にそこに集まるようにしています。次に行く場所も光っていて、わかりやすくしているんですが、プレイヤーにストレスを与えないように、かなり気を使っています。

──ちなみに、現状で完成度はどのくらいですか?

Zato:約70%くらいです。世界を歩きつつ、アクションに対して反応があるのがおもしろさだと思うので、そこを充実させていきたいですね。完成というよりも、最低限やりたいところまでやって、形にしていきたいと思います。

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▲暗闇のなか、光をつけて歩く。雰囲気たっぷりの作品だ。

⇒“A 5th Of BitSummit”紹介記事はこちら

A 5th Of BitSummit 概要

・日程:2017年5月20日(土)、21日(日)

・時間:10:00~17:00

・会場:京都市勧業館“みやこめっせ”1階第2展示場

・入場料:一般 2,000円 / 中高大学生 1,000円 / 小学生以下 無料(2日間有効)

・主催:BitSummit実行委員会

※一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会(JIGA)(Q-Games Ltd. / PYGMY STUDIO CO., LTD. / VITEI BACKROOM Inc. / O-TWO inc. / 17-Bit / Digital Development Management, Inc. / Indie MEGABOOTH)、
株式会社ワン・トゥー・テン・ホールディングス、株式会社 Skeleton Crew Studio、株式会社インピタス、京都コンピュータ学院、京都府

・制作:株式会社オリコム

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.638』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2017年5月11日
■定価:638円+税
 
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