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2017年5月11日 (木)

ピース・又吉、さまざまな感想に「作品の中に入り込んで楽しんでもらえている」と喜びを語る! 小説第2弾『劇場』の単行本が本日発売!!

5月11日(木)、東京・博品館劇場にて、ピース・又吉直樹の著書『劇場』(新潮社刊)の『劇場お渡し会』前に囲み取材へ応じました。
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本作は、東京で活動する売れない劇作家・永田と特殊な状況で偶然知り合った女性・沙希との恋愛模様、永田が劇作家としての現実と理想の狭間で葛藤する姿が細やかに描かれています。
発表の場となった『新潮』4月号は、10日あまりで完売。多くの反響を受けて、今作の初版が新潮社で村上春樹さんに続いての部数となる30万部に決まったことでも話題となりました。

スーツ姿で登場した又吉は、報道陣へ「本日はお忙しい中、お越しくださいましてありがとうございます。遅れましたが、又吉です」と挨拶。続けて、「変なタイミングで挨拶してしまいました」と自身の言動の妙を笑います。
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本日の劇場入り前に、書店を訪問したという又吉。「自分の本が発売される日っていうのは、朝から妙な緊張感と嬉しさがあり、ドキドキしながら行きました。大きく扱ってくださるのを心強く思ってますし、書店員さんから面白かったと感想を伝えていただいたのも嬉しかったです」とコメントします。
初めて恋愛小説を執筆したことでも注目が集まっている今作。題材とした経緯については「今まで書いて来た、いろんなエッセイなどを読んでくださった編集の方から、僕自身の話ではなく、こういう感覚のものを恋愛小説としてつくったら面白くなるんじゃないかと提案いただいて。"できますかねぇ?"って答えたんですけど、じっくりと考えてみたら書きたくなって。また、今回は恋愛と演劇っていう両方のテーマがあることによって、面白いものになりそうだなとも思いました」と語ります。

処女作『火花』に続き、今作も漢字2文字のタイトルとなった理由を問われると、「『火花』の時、いろんな先輩に『花火』っていじってもらって、今作も逆に読めるタイトルにしろとか言われた」と語ると、ドッと笑いが。
『劇場』を"劇場"でお渡しするという楽しい試みに、「主人公は劇作家で演出家でもあるので、こういう提案をいただいて是非と言った。僕自身、今も毎月、劇場に立たせてもらっていますから」と話しつつ、さまざまな劇場での思い出を。「北海道の小樽へ1ヵ月半、住み込みで漫才しに行ったことがあったんですけど、お客さんが0人で、客席に座ったスタッフさんに向かって漫才することもありました。前のほうに1人だけ、おばあさんが座っていたときはゆっくり喋って帰らないように気を付けたり、ほかの芸人さんもこのあと出るんで座っといてくださいねって声をかけたり......。劇場への思い入れはたくさんあります」としみじみします。
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新作発表以来、どんな感想を伝えられたかという質問も。それに対しては、「全体的に面白く読んだという感想をいただいている中で僕が嬉しいのは、登場人物に対して怒っている読者がいたり、知り合いの中に"あいつ、マジでむかつくわ"って登場人物に対して言ってくれる人がいたり、愛情を持って『幸せになってほしい』と言ってくれる人がいたりするということ。作品の中に入り込んで楽しんでくれはったんやなって感じた」と喜びます。

前作を読んだ人から「難しかった」と感想をもらったことで、読んでもらう上でわかりやすさを意識したという又吉。「扱っていることを簡単にするとかではなく、自分の中で(扱うものを)より深めていく作業をしながら"伝えることってなんなんだろう"と考えていました。結果、今作は本をあんまり読んで来なかった人からは読みやすかったという感想をいただくんですけど、本をすごく読んできた方からは思っていたほど簡単ではなかったという反応が返ってくるという不思議な現象も。ただ、いろんな読み方をされるっていうのは嬉しい。絶対こうで、こう読んでもらいたくて、結論はこうだっていうのもを書きたいわけではないので」と言及します。
「芸人としてデビューしたての頃、100人くらいのお客さんが入る劇場でやっていて。当時のお客さんは僕が暗いこともちょっと不気味なことも、"又吉はああいうヤツや"って許してくれてたんdすけど、少し大きな会場になると例えば声の小さくてはいけなかったり、もっと大きな劇場でやらせてもらうようになるとまた違う反応が返ってきたりする。だから広く読まれることで、自分が思っていたものとは違う反応が返ってくるのは嬉しいです」と続けつつ、「本を読まない人向けに書いているのかと思われるかもしれないですけど、本を読んで来た人、本によって救われた人にも読んでいただければ」とも強調しました。
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ニューヨークへ拠点を移す相方・綾部について聞かれると、「"読まなきゃな"って、強い意志を感じさせる目で言ってました」と返答。「本を読むのが苦手なので『無理せんでええで』って言うたんですけど、強い目で言うてた(笑)。綾部は映画が好きで、昔からネタ合わせの前は、あいつが最近観た映画のあらすじを話してくれてたんです。あらすじを話すのがうまくて、『ユージュアル・サスペクツ』はオチまで話してもらって面白いなと思ったので、レンタルで借りたんです。綾部の話す通りの内容でした」とを語ると、報道陣は爆笑。「『火花』の感想も、正確なものは聞いてないんですよね。"長かった"と言われましたけど、今作は『火花』より長いんで......どうなんでしょうね?」と笑います。

今後の執筆活動については、「小説は自由度が高くて、いろんなことが表現できる。だから、継続してやっていきたいという思いはあるんですけど、今年すぐに書き始めるかはわからない。けど、書いていきたいとは思います」と誠実に発言。「構想はいくつかあるんですけど、小説として書き上げるのか、コントとかエッセイとか違うかたりにするのか......」と明言は避けつつ、「『火花』と『劇場』に共通しているのは、人と人との関係性がどう変わっていくかということ。僕自身、好きというか一番興味がある部分なので、今後もいろんなものに興味を持って、強く興味を持っていることを書いていきたい」と展望しました。
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囲み取材後、行われたお渡し会。登壇した又吉は、まず集まってくださったお客さまへ「平日ですよね? お仕事は大丈夫ですか?」と声をかけます。
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「僕、本全般が好きなので、好きな作家さんの新刊が出る時は、発売前日に何かの間違いで入荷してないかなと思って『まだ入ってないですよね?』って(書店へ聞いた)経験もあります。最初に出した本はせきしろさんとの共著で『カキフライが無いなら来なかった』という本なんですけど、発売日に嬉しくて書店を回ったけど、どこにもなくて。紀伊國屋書店に行ってタレント本コーナーにあるはずだと思って行ったら、詩歌のコーナーに置いてあった。別の本屋さんではポップを付けてもらってたんですけど"世界一地味な化学反応"って書かれていて......。全部嬉しいんですけどね」と、これまでのエピソードと当時の気持ちをにこやかに話します。
「お渡し会ということなので、今からお渡しします」と説明しつつ、「これ......握手するのかしないのかっていう、お互いの駆け引きってあるじゃないですか。握手は基本しましょう!」と提案すると、客席から大きな拍手が。
「僕は握手したんですけど、したくないかなとかいろいろとあるんで、イヤな人はさらっと行っていただければ。僕は、誰に対しても握手をする準備はできているんだぞ、ということだけお伝えします」と来てくださったお客さまへ、らしい言い回しで配慮し、いよいよお渡し会はスタートしました。
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綾部含めて"先生"と呼ばれることに対して、囲み取材で「自分のことを先生とは思えない。相方もそうですし、呼ぶ人はみなさん、イジってるんですよ。いろんなところで講演をやらせてもらいますけど、『又吉先生です』って呼び込まれたら、みなさん笑ってますもん」と話した又吉。新刊を手渡しする際、報道陣から「先生! こっちもお願いします」「先生! 目線下さい」と声をかけられながら撮影に応じる又吉を観ていたお客さんからも、大きな笑いが起こっていました。
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『劇場』は本日より発売。現在、特設サイト(http://www.shinchosha.co.jp/gekijou/)では、写真家・若木信吾さんが撮影・編集したPVも構内中です。本とあわせて、お楽しみください!


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