NTTデータは2017年5月10日、2017年3月期の通期決算を発表した。売上高は前年同期比7.3%増の1兆7324億円、営業利益は同16.1%増の1171億円で増収増益となった。売上高と営業利益は過去最高を更新。為替による下振れ要因があったものの、グローバルでのM&Aや大型案件の獲得が増収要因となった。国内でも不採算案件の影響を抑えたことで堅調な経営を維持した。NTTデータの岩本敏男社長は決算結果について「満足のいくものだった」と自信を見せた。

NTTデータの岩本敏男社長
NTTデータの岩本敏男社長
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 2017年3月期の受注高を見ると、2016年度に買収した米デルのITサービス部門(Dell Services部門)の統合や欧州子会社における決算期統一による規模拡大で「グローバル」セグメントが前年同期比で1374億円の増加となった。一方、官公庁や医療、通信などの「公共・社会基盤」セグメントでは、前年度の大型案件の反動減により同811億円の減少となった。

 2017年3月期の営業利益を見ると、公共・社会基盤セグメントと「金融」セグメントの不採算案件が減り、それぞれ107億円と104億円の増益に貢献した。グローバルセグメントではDell Services部門の買収に伴うアドバイザリー費用がかかったものの、統合による増益要因や欧州子会社の収益性改善で9億円の増益要因となった。

 2018年3月期の通期業績予想はさらなる業績の成長を見込み、売上高は前年同期比18.9%増の2兆600億円、営業利益は同2.5%増の1200億円とした。Dell Services部門の統合や、グループ会社の決算期統一による連結月数の増加により、グローバルセグメントが増収増益に大きく貢献する見込みだ。2016~2018年度の中期経営計画でNTTデータは連結売上高2兆円を目標に掲げており、これに王手をかける形となった。

 会見で岩本社長は2017年7月1日付でグローバルビジネス推進・管理体制を強化する計画を発表した。現在、同社のグローバル事業本部が提供する各種サービスを本社組織として新設する「グローバルマーケティング本部」に移管し、体制を強化していく。岩本社長は「NTTデータをグローバルで認知・信頼されるブランドに成長させたい」と述べ、全面的な体制変革に取り組む姿勢を示した。