連載
インディーズゲームの小部屋:Room#479「Scanner Sombre」
連休中は遠出せず,自宅でゲームをしたり,アニメを見たり,たこ焼きを焼いたりして過ごした筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第479回は,Introversion Softwareが開発した「Scanner Sombre」を紹介する。本作は,あやめもわかぬ暗闇の洞窟を,特殊なスキャナーを使って探知しながら進んでいくというアドベンチャーゲームだ。このまま,ずっと休みが続けばいいのに!
本作の目的は洞窟探検家の主人公を操作し,地下深くのベースキャンプを出発して,愛する家族が待つ地表を目指すというもの。とはいえ,一歩,テントから踏み出せば,そこは自分の手さえ見えないほどの暗闇で,文字どおり右も左も分からない状態だ。そこで大いに役立つのが,主人公が手にしているLIDARスキャナーという装置である。
LIDARスキャナーとは,パルス状に発光するレーザーを照射し,その散乱光を検出することで,対象物との距離を算出する装置のこと。ゲームでは,手に持ったスキャナーガンからレーザーを照射し,それをHMD型のバイザーで検知することで,周囲の地形を把握することになる。LIDARスキャナーで検出した洞窟内の風景は,まるで光の粒で描いた点描のように見え,遠くのものほど青く,近くにあるものは赤く表示される。
基本的な操作方法は,W/A/S/Dで移動,Spaceバーでジャンプというもので,マウスで視線を動かしつつ,左クリックでスキャナーガンを使用する。また,探索を進めていくと新たにいくつかの機能が追加され,地図を表示したり,レーザーの照射範囲を変更したりといったことも可能になる。スキャナーガンの使用にはとくに制限がなく,レーザーを照射していない部分は真っ暗で何も見えないため,探索中は常にレーザーを撃ち続けていくといいだろう。
洞窟内はおおむね一本道でつながっているが,かなり広大で起伏に富んでおり,スキャナーを使っても探索は容易ではない。足を踏み外して高所から落下すると地面に叩きつけられて死亡し,近くのチェックポイントからやり直しとなるので慎重に行動しよう。また,探索中にときおり主人公の独白が挿入され,それによって洞窟に隠された不気味な秘密が少しずつ明らかにされていく。
赤から青までの光のスペクトラムによって洞窟内を描いた手法は非常に独特かつ幻想的で,本作の大きな魅力となっている。また,主人公の独白が洞窟の不気味さを増すのに一役買っており,ホラーゲームではないのに思わず肌が泡立つほどの恐怖感を味わえるのも特筆すべき点だ。ゲームは3時間ほどでクリアできるボリュームだが,スリルのある洞窟探検をしてみたい人には,ぜひお勧めしたい。そんな本作はSteamにて,1180円で発売中だ。
■「Scanner Sombre」公式サイト
http://www.introversion.co.uk/scannersombre/#- この記事のURL:
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