富士通と日本オラクルは2017年4月20日、富士通のクラウド「K5」からオラクルのクラウド「Oracle Cloud」の販売をはじめた。第1弾として、Oracle Database(DB)のPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)をK5のサービスとして提供する「K5 DB powered by Oracle Cloud」を販売する。

富士通の前田高光シニアマネージャー(1番左)、富士通の宮沢健太統括部長(左から2人目)、日本オラクルの高橋正登執行役員(右から2人目)、日本オラクルの竹爪慎治執行役員(1番右)
富士通の前田高光シニアマネージャー(1番左)、富士通の宮沢健太統括部長(左から2人目)、日本オラクルの高橋正登執行役員(右から2人目)、日本オラクルの竹爪慎治執行役員(1番右)
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 K5から提供するOracle Cloudのサービスは、富士通の国内データセンターを使って2017年3月27日から提供しているOracle Cloudを基に富士通が機能を追加したサービス。K5のOracle DBサービスは富士通がシステム構築時にOracle DBに施す設定を自動化している。富士通の前田高光デジタルビジネスプラットフォーム事業本部ビジネスプラットフォームサービス統括部シニアマネージャーは「富士通が構築したシステムを使う企業にとって1番使いやすいデータベースサービスだ」と話す。

富士通のクラウド「K5」から提供するOracle DatabaseのPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)「K5 DB powered by Oracle Cloud」の概要
富士通のクラウド「K5」から提供するOracle DatabaseのPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)「K5 DB powered by Oracle Cloud」の概要
(出所:富士通)
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 富士通の宮沢健太マーケティング戦略本部MetaArc戦略統括部統括部長は「オンプレミスでOracle DBを使っている企業へ、K5へのシステム移行を促しやすくなる」と話す。移行作業に必要なOracle DBの設定を自動化できるため、システムをクラウド上で構築し直す期間を短くできるとする。富士通はサービス提供により、システム移行サービスなど関連事業を含めて3年間で500億円の売り上げを目指す。

プロのチューニング性能を

 富士通と日本オラクルはOracle DBを使う既存顧客へ売り込むだけでなく、新規顧客への拡販も狙う。日本オラクルの高橋正登執行役員クラウド事業戦略室長兼エンタープライズソリューション統括本部長は「富士通が設定を自動化して提供することで、初めてOracle DBを使う人でもプロがチューニングした性能を引き出せる」と話した。

 日本オラクルの竹爪慎治執行役員 クラウド・テクノロジー事業統括 Cloud Platform 事業推進室長は「IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)など富士通とオラクルで競合する部分はあるが、協業のメリットは大きい」と話す。Oracle CloudとK5を同じデータセンターから提供するため、K5にデータを持つ企業は同じデータセンター内でOracle Cloudのデータ分析サービスなどが使える。Oracle DBをオンプレミスで運用する富士通の顧客がK5にデータを移せば、オラクルはクラウドサービスを顧客に訴求しやすくなる。

 K5から使うOracle DBサービスの月額利用料は1CPUコアとメモリー容量7.5GBを搭載した仮想マシンが使える最小構成が、それぞれStandard Editionライセンス込みで約5万7000円(税別)、Enterprise Editionライセンス込みで約22万3000円(税別)。利用料金は為替の影響を受ける。