「当社はこれまでERP(統合基幹業務システム)に注力してきた。これからは、PaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)を提供することで、プラットフォームにも力を入れていく」。SAPジャパンは2017年4月18日、同社のPaaS「SAP Cloud Platform」に関する戦略発表会を開催。「欧州、米国、中国に次いでデータセンター(DC)を開設した日本は、PaaSにおいても重要な市場」と位置づけた。

 冒頭の発言をしたのは、欧州SAPでグローバル・ゼネラルマネージャ プラットフォーム&イノベーション担当シニア・バイス・プレジデントを務めるロルフ・シューマン氏。同氏はさらに、「SAPはこれまでERPの提供によって基幹系システムを支えて来たが、これからはPaaSも提供することで、基幹系で利用できるアプリケーションの開発を支えていく」と強調した。

写真●欧州SAPでグローバル・ゼネラルマネージャ プラットフォーム&イノベーション担当シニア・バイス・プレジデントを務めるロルフ・シューマン氏
写真●欧州SAPでグローバル・ゼネラルマネージャ プラットフォーム&イノベーション担当シニア・バイス・プレジデントを務めるロルフ・シューマン氏
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 欧州SAPは2016年末に東京にSAP Cloud Platform向けのDCを開設、2017年下期にはバックアップ用として大阪にもDCを開設する予定だ。SAPジャパンの鈴木正敏バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長は「当社が日本にDCを設置するのは世界的に見ても早い段階」として、日本市場へ注力する姿勢を示した。

写真●SAPジャパンの鈴木正敏バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長
写真●SAPジャパンの鈴木正敏バイスプレジデント プラットフォーム事業本部長
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 DCの開設を機にSAPジャパンは、PaaS分野のパートナービジネスを強化する。2017年3月からSAP Cloud Platformの技術者の認定制度を開始。すでに国内のIT技術者3000人以上にSAP Cloud Platformのトレーニングを実施済みだという。SAP Cloud Platformを扱うパートナーの中には、「これまでERPを販売していなかった企業もある」(鈴木バイスプレジデント)という。

 欧州SAPは2017年3月にPaaSの名称をこれまでの「SAP HANA Cloud Platform」から「HANA」を取り、現在の名称に変更した。HANAは同社のERP「S/4HANA」の動作基盤にもなっているインメモリーデータベースを核にしたミドルウエア。「HANAはPaaSの一部の機能。より利用者に分かりやすくするために、名称を変更した」(シューマン氏)という。