次の記事:ビール原料に生き埋め 男性死亡 キリン工場

農業に女性の視点 県内3法人、活躍経営体に初認定

女性が働きやすい環境にこだわったドロップのトマト栽培ハウス=水戸市成沢町
女性が働きやすい環境にこだわったドロップのトマト栽培ハウス=水戸市成沢町


県内三つの農業法人が、日本農業法人協会が選定する2016年度の「農業の未来をつくる女性活躍経営体100選(WAP100)」に認定された。各法人とも、女性ならではの視点を生かした商品開発や事業展開に加え、子育て世代などの女性が働きやすい環境の整備にも工夫を凝らす。政府が主導する「女性活躍推進」の動きが農業の現場でも広がりつつある。


本県の認定法人は、フルーツトマト生産販売のドロップ(水戸市)▽コメ生産販売の横田農場(龍ケ崎市)▽花き生産販売のゲブラナガトヨ(河内町)-の3法人。WAP100は、女性の活躍推進に向け、先進的に取り組む農業経営体の表彰制度。15〜17年度の3年間で全国100の経営体を認定する。県内法人の認定は16年度が初めて。
▽清潔で快適

ドロップは、従業員8人中7人が女性。生産する高糖度トマトのブランド化やラベルデザイン、パッケージなどについて、日々意見を交わしながら、女性消費者の関心をつかめるよう販売戦略を練っている。

栽培にはほとんど土を使わず、水と肥料の使用を必要最低限に抑える医療用フィルムを用いる。温度や湿度などの管理により、清潔で快適な環境を保ち、重労働となる作業もない。昨年春から働く河西ほなみさん(25)は「きれいな環境で重労働や汚れ作業がない。仕事終わりにそのまま出掛けられる」と笑顔を見せる。

就農前は広告代理店に勤務していた三浦綾佳社長は「需要に対応した生産基盤を整えた上で、女性の発想を生かした事業を展開していきたい」と意気込む。
▽母親目線の商品

他の2法人でも女性が生き生きと働いている。

横田農場は、米粉を使ったスイーツの加工・販売部門の従業員は全員が女性。安心や安全にこだわる母親目線の商品は、年々、売り上げを伸ばしている。

同部門責任者の横田祥(さち)さんは「従業員で日々意見を出し合い、商品を改善している。女性の感性を大切にしていきたい」と話す。

ゲブラナガトヨは、これまで男性が中心だった花きの育種や選抜に、女性従業員の意見を積極的に取り入れる。消費者の目線に近い商品展開により、受注数の増加につながった。

子育て世代の女性従業員が多いため、就業時間は個別に対応し、託児所の併設も検討している。荒井啓子(ひろこ)常務は「結婚や出産のほか、子どもが成長する過程でも、女性が継続して働ける環境をつくっていく」と力を込めた。 (磯前有花)



最近の記事

茨城の求人情報

全国・世界のニュース