【カイロ=大内清、ベルリン=宮下日出男、ロンドン=岡部伸】トランプ米大統領が難民・移民の受け入れ停止や凍結などを命ずる大統領令を出したことに対し、イスラム圏や欧州などで反発が広がっている。
アラブ連盟(加盟21カ国と1機構、本部カイロ)のアブルゲイト事務局長は29日、イスラム圏7カ国の一般市民の入国を禁止する米大統領令について「深刻な懸念」を表明し、トランプ米政権に政策の見直しを求めた。
声明でアブルゲイト氏は、今回の措置は米社会とアラブ社会との多分野での交流や、米国に住むアラブ出身者らとその家族のつながりを阻害するものであり、「正当化できない」と指摘した。
米国への入国禁止をめぐっては、対象国の一つであるイランが28日、米国人のイラン入国を禁じる対抗措置を取ると発表。イラク国会でも対抗措置を講ずべきだとの声が高まっている。
一方、ドイツのガブリエル外相とオランダのクーンデルス外相は29日、今回の米国の措置について、二重国籍を持つ欧州連合(EU)加盟国の国民への影響を精査した上、「われわれは市民の権利を守る決意であり、EU内で必要な手段を調整する」との共同声明を出した。
共同声明はイスラム圏の国との二重国籍の保有者を念頭にしたもの。両外相は、難民保護は国際法で求められているとし、受け入れ停止は「テロとの戦いの正しい手段でない」と主張した。