NTTドコモ・ベンチャーズは、「未来協創Lab」のキックオフイベントを2017年1月16日に開催した。同ラボは、イノベーションを創出するための同社のプログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」に、日経BPイノベーションICT研究所をパートナーに迎えた協創プロジェクトである。16日のキックオフイベントでは、次世代通信規格「5G(第5世代移動通信システム)」をテーマとした座談会を実施した。

 座談会に先立ち、NTTドコモ 5G推進室 室長の中村武宏氏が5Gの概要を解説した。NTTドコモは、東京オリンピックが開催される2020年までに5Gのサービスを開始する予定。さらに、2020年以降も「さらなる進化に向けた機能拡張を進めていく」(中村氏)とする。

写真1●NTTドコモ 5G推進室 室長の中村武宏氏
写真1●NTTドコモ 5G推進室 室長の中村武宏氏
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 5Gの開発においては、「大容量化」「高速通信」「多数の端末との接続」「低遅延化」「低コスト&省消費電力」という5つの要求条件が挙げられている。5Gのサービス展開については、高速・大容量化を最も必要とする大都市などのエリアから導入していくのが「一般的だろう」(中村氏)とのこと。その一方で、地方創生を踏まえた5Gの導入も考慮しており、「5Gを活用した取り組みで、地方を豊かにしていきたい」との考えも示した。

 2017年5月からは、東京臨海副都心地域(お台場・青海地区)と東京スカイツリータウン周辺などで、大規模なトライアルを実施することになっている。さまざまなサービスに挑戦し、「よりよいユースケースの開発を目指す」(中村氏)とする。

 座談会には、サイエスト 広報でラーメン評論家でもある本谷亜紀氏、ニッポン放送 アナウンサーの吉田尚記氏、セガゲームス カンパニーCOOの岩城農氏に、NTTドコモの中村氏を加えた4人が参加。「5Gで変わる未来の暮らし」をテーマに、5Gが生み出す新たなサービスや世界観などについて議論が交わされた。

写真2●座談会の様子。左からサイエスト 広報でラーメン評論家の本谷亜紀氏、ニッポン放送 アナウンサーの吉田尚記氏、セガゲームス カンパニーCOOの岩城農氏
写真2●座談会の様子。左からサイエスト 広報でラーメン評論家の本谷亜紀氏、ニッポン放送 アナウンサーの吉田尚記氏、セガゲームス カンパニーCOOの岩城農氏
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 5Gが実現する2025年の世界をイメージしたケースでは、吉田氏は自分が夢見る旅行体験を披露。「鹿児島へ行こう」と考えるとすぐに自分のスケジュールが確保され、移動はIoT(インターネット・オブ・シングズ)を駆使した自動運転で「寝ている間に到着している」といった発想を語った。

 また岩城氏は、VR(仮想現実感)を活用することで「自分以外の人生も追体験できるようになるのではないか」という未来を予想。本谷氏は、新しい技術で「自分に合った結婚相手をもっと効率的に探せるようにならないか」と切望した。

 SFのような世界観にも話が飛躍していくなか、中村氏は「来るべき社会の変化やニーズといった根底部分をしっかり考えたうえで、そのさらに上に当たるサービスを生み出していく必要がある」とコメント。それを踏まえれば、「インパクトのあるメッセージを打ち出せるし、ビジネスチャンスもいち早くつかめる」と感想を述べた。