明電舎は2017年1月17日、IoT(インターネット・オブ・シングズ)向けの無線通信技術で低消費電力と長距離伝送が特徴のLPWA(Low Power Wide Area)を使った防災監視サービスの実証実験を開始すると発表した。実験の第一弾として2017年3月、神奈川県厚木市で下水道の内水氾濫による浸水監視の実証実験を行う。

従来の浸水監視ではマンホールごとに3G/LTEで通信していた
従来の浸水監視ではマンホールごとに3G/LTEで通信していた
(出所:明電舎)
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LoRaWANによる浸水監視では基地局だけが3G/LTEで通信する
LoRaWANによる浸水監視では基地局だけが3G/LTEで通信する
(出所:明電舎)
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 実証実験では、LPWAの規格の一つであるLoRaWANを使って浸水監視を行う。マンホールに取り付けた水位計の情報をセンサーでリアルタイムにクラウドに収集し、降雨レーダー情報と組み合わせて分析する。ゲリラ豪雨などの都市水害対策を安価に実現するのが狙い。

 従来はマンホールなど一つひとつに3G/LTE通信機器を取り付けてセンサーデータを収集していた。これに対して、LoRaWANを介してIoTセンサーデータを集めれば、3G/LTE通信は基地局のみでよくなる。IoTセンサーを大量に導入してもコストを低く抑えられる。

 実証実験は、KDDIとともに国土交通省の技術支援の下で行う。KDDIはセンサーデータを収集する通信ネットワークを構築する。国土交通省は都市域の浸水状況を把握する仕組みを全国に展開するに当たっての、行政面や技術面の課題や留意点を抽出する。