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チョコレートから始まった「物々交換」が古民家に!? 人が「不平等な交換」をするとき

『チョコから物々交換、4年で古民家に 京都の誌面企画』(朝日新聞デジタル)

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チョコレートから始まった「物々交換」が古民家に!?  人が「不平等な交換」をするとき
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『チョコから物々交換、4年で古民家に 京都の誌面企画』(朝日新聞デジタル)

わらしべ長者を再現してみせたかのようなニュース。先日、SNS上で大きな盛り上がりを見せました。

古民家の価値については、固定資産税や修繕費用がかかるなど様々な意見があるかと思いますが、それを差し引いても、最終的に土地付きの家とテーブルマットの交換が実現したことに驚いた人は少なくないでしょう。物々交換に限らず、私たちは時として驚くような交換をします。

才媛とヒモ男さんのカップル、MBAホルダーが時給1000円でバイト、嫌な人と遊びに行って、心地よい時間と苦痛な時間を交換する……etc

人間は基本的に幸福を追求するイキモノのはず。自分の利益を最大化する選択をしそうなものです。なのになぜ、私たちはおよそ平等ともいえない交換をしてしまうのでしょうか。

■こんな実験をやってみたことがあります
筆者が主宰する勉強会で、二人組に現金を渡して配分してもらうという、ある有名な実験を再現してみたことがあります。ルールは以下のとおりです。


・まず一人に1000円を渡し、どのように配分するかを決めてもらう
・配分の割合は自由。平等でもいいし、自分が900円、相手が100円でもOK
・もう一人には提示された条件での配分を受け容れるかどうかを決めてもらう
・受け容れる場合は、相手が提示した金額を貰える
・受け容れない場合1000円は没収され、二人とも受け取れるお金はゼロ

さてどのような結果になると思いますか?

皆さんのご想像どおり、一番多かったのは500円ずつ分配するというパターンでした。自分に有利な配分をした人もいましたが、極端な分配にするほど、相手に受け容れられない率は高まります。

受け容れるかどうか決める側は拒否もできるわけですが、冷静に考えればゼロよりはいくらかでも貰えるほうが得です。それでも感情を優先してしまうのが私たち人間なのかもしれませんね。「不平等なうえに100円もらっても……」と考えた人もいたと思うので、2回目には分配する金額を10倍の10000円にして実験してみました。この場合でも分配率が極端になると拒否する人は増えました。筆者は不平等でも1000円貰えたら嬉しいですが、そう考える人は思ったより多くありませんでした。

■損得よりも納得
このような結果になることは事前に知っていましたが、驚かされたのは実験後の参加者の行動でした。

1000円を平等に分配した二人が500円のおつりを持っていない場合、「じゃあ、いいよ」とお金を受け取らず、相手に全額あげてしまう人たちが何組もいたのです。社会人の勉強会なので参加者の可処分所得は中央値よりも高いと思われますが、それにしても興味深い行動です。

分配が不平等だと、収益がプラスになるにも関わらず許せない。ところが、自分から不平等な分配を提案して一円も受け取らないのはOK!

私たちにとって、損得よりも納得のほうが大事なのでしょう。

ニュースになった物々交換で家を提供した人も「相手に喜ばれる」「物々交換の企画が盛り上げることができる」といった部分に価値を感じ納得していたのかも知れません。キャバクラで高額な料金を払いながら、女の子たちに気を遣っている男性も同じような気持ちでしょうか。

論理的に考える必要性が高いビジネスシーンでも、このような現象は見られます。適正な利益を確保しなければならないビジネス交渉の現場でも、「喜んで譲る」「損をしているのに満足度は高い」といったケースは少なくありません。

逆にお互いにメリットがある案件なのに、アプローチの仕方が悪いと決裂してしまうこともあります。利益の確保が命題であるビジネスシーンにおいても、納得感はやはり重要な要素なのです。

■正しいけど納得できない! コミュニケーションのよくある問題
コミュニケーションの領域でも納得感が大切なのは同じです。皆さんは、上司に頭ごなしに叱責されて、納得できない気持ちになったことはありませんか?


確かに自分にも落ち度はある。上司の言うことは正論。でもあの言い方はない! こういった心の動きを経験したことのある人は多いと思います。
自分の成長のために重要な指導であっても、納得感がない場合には拒否反応を起こします。逆に、不利益になるようなアドバイスをされても、全体のトーンに納得感があれば、ありがたく受け止めがちです。

いい悪いではなく、私たちにこのような傾向があることを認識しましょう。おのずと言葉を選ぶことの重要性がわかると思います。しかし言葉選びが重要なのがわかっていても、ついつい考えなしに思ったことを伝えてしまうんですよね。だからこそ、人から酷い物言いをされたときにも、感情的に反応しないことが大切。ショックや怒りの感情がわいたときには、ぜひこのことを思い出してください。

会話も言ってみれば、物々交換。できれば伝え方に配慮がある人と、お互いが有意義と思える、時間の交換をしたいものです。

でも私たちは不合理な交換をしてしまうイキモノ。忘年会、新年会などはお付き合いの増えるシーズンには特に気をつけましょう。参加したくない飲み会で、有意義に過ごせるはずの時間とつまらない時間を交換するくらいならともかく、楽しさと健康の交換は絶対NG! 自分自身を労わりつつ、納得感のある素敵な年末年始をお過ごしください。

記事提供元:citrus
《藤田尚弓》
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