伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は2016年12月9日、農作業者にウエアラブルセンサーを付けて健康・労務管理や生産性の分析を実現するシステム「健康・労務管理IoTソリューション」(仮)を開発したと発表した。システムの運用まで含めてサービス提供する。トライアル実施を経て2017年度(2018年3月期)に開始する。システムの提供形態は未定。

農作業支援の「健康・労務管理IoTソリューション」(仮)の概要
農作業支援の「健康・労務管理IoTソリューション」(仮)の概要
(出所:伊藤忠テクノソリューションズ)
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 センサーとして、富士通のIoT(インターネット・オブ・シングズ)製品群である「FUJITSU IoT Solution UBIQUITOUSWARE」(ユビキタスウェア)を使う。熱ストレスや転倒・転落を遠隔で把握できる「バイタルセンシングバンド」と、位置情報を把握できる「ロケーションバッジ」を使う。バイタルセンシングバンドは、事前に設定した通知条件で管理者にアラートを自動通知する機能も備える。

 トライアルの第一弾は、2016年8月22日から9月23日にかけて、京丸園(静岡県浜松市)の浜松農園で実施。現場管理者4人と作業者12人にセンサーを付けて、動作データ(身体姿勢検知、転倒検知、歩数など)、身体データ(パルス、身体負荷、熱ストレスなど)、ロケーションデータ(位置情報、移動軌跡など)を取得・分析した。このトライアルでは、CTCの特例子会社であるひなり(東京都千代田区)の社員が、農作業者として協力した。

 トライアルでは、作業内容や作業経過時間、連続勤務日数と、身体負荷や熱ストレスとの相関関係を確認した。ストレスのかかる作業や適切な作業配分、作業連続作業における休憩取得のタイミング、連続勤務日数の限度などについて、個人ごとに算出した。さらに、気温・日照時間・湿度などの環境データを加えて機械学習にかけることにより、農作物の生育量予測モデルを構築した。

 農作業の繁忙期には人出不足を補うために、普段は農作業に従事していない作業者が短期的に農作業の支援を行うことがある。特に、夏場のビニールハウスでの農作業は高温多湿な環境となるため、熱中症の予防を含めた農作業者の労務管理や健康管理が必要になるという。