【ITで攻めの農業】投資300万円でも儲かるトマト自動栽培 | RBB TODAY
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【ITで攻めの農業】投資300万円でも儲かるトマト自動栽培

IT・デジタル その他
ミニトマトは灌水が多すぎると実が破裂し、売り物にならなくなってしまう
  • ミニトマトは灌水が多すぎると実が破裂し、売り物にならなくなってしまう
  • ゼロアグリが土壌センサーを元に養液供給を自動化。気温や日照時間などのセンサーも追加できる
  • ゼロアグリの管理画面。培養液の供給量、土壌水分量などのログが残り、それを元に翌年の生産計画を考えることもできる
【記事のポイント】
▼養液供給の自動化の魅力は、生産性向上の先にある品質向上
▼作業の負荷軽減を考えると、実は高齢者こそ取り組むべき農業のIT化
▼農業参入のハードルを下げることが、人手不足の解消に繋がる


■身近なところで既に農業を支えているIT

 就農人口の減少と担い手の高齢化が、農業における大きな問題となっている。農業従事者の負担を減らし、新規就農を促進するためには、生産性や収益の向上が不可欠。そのために注目されているのがITの導入だ。

 分かりやすい例としては無人の野菜工場があるが、初期投資が膨大なため一農家が取り組むには難しい。ただ、タブレットやスマホ、クラウドを利用した農業のIT化は身近なものとなり、成功事例も表れつつあるようだ。実際にちょっとした作業の効率化、記録管理のIT化などにテクノロジーを導入している農家は少なくない。その良い参考になりそうな事例が、福島県で30町の稲作を行うアルス古川だ。

 同社の古川純平氏によると、農業にITを導入したきっかけは、所有する水田の苗を育てるビニールハウスの有効利用のため。苗を育てたあとのビニールハウスは田植えが終われば、次の収穫で種もみが獲れるまで使用されずに放置される。これを何かに使い、売上に貢献できないかと考えたのが始まりだった。

■肥料散布と灌水がセンサー情報を元に自動化

 ビニールハウスの活用にあたり、思いついたのがミニトマトの栽培だった。とはいえ、遊休地の活用という副次的な使い方のためだけに人を雇うことは難しい。そもそも、ミニトマト栽培の経験が豊富ではなかったため、まずは県の営農指導を受けることになった古川氏。その中で出会ったのが養液土耕支援システム「ゼロアグリ」だった。

 ゼロアグリは土壌センサーによって耕作地の地温、土壌水分量、土壌EC値を測定。それを元に灌水や肥料の量を制御する。古川氏によればハウス栽培で一番大変なのが水やりだという。天候や気温、作物の状態によって分量の調整が必要となり、作業中は手がはなせない。そのため、養液供給の自動化は魅力的だった。


 さらに、土壌や養液供給の経緯を管理画面で把握することで、導入後は作物の状況を見ながらよりきめ細やかな育成が可能になった。ミニトマト栽培では潅水に失敗すると実が割れ、当然それは廃棄対象となってしまう。システム導入後、ハウス1棟あたりの廃棄量は、導入前と比較して1/4から1/5ほどに減少。品質についてもA級品の比率が増えたという。

■投資回収はコスト効果より作付け面積の拡大がポイント

 作業や管理に余裕が出たことから、アルス古川ではミニトマトのハウスを、開始当初の4棟から10棟まで拡大した。システムの導入コストは約300万円と決して安くないが、生産量の増加によって収入が増え、導入1年後からハウスの増棟に着手できたという。

「農業にITを活用する場合、効率化による人件費などのコストダウンで初期投資を回収しようと思わない方が良いでしょう。それよりも、生産性を高めることで収穫量を増やし、その収入によって投資回収するようなモデルを考えるべきです」

 古川氏は農業における最大のコストは人件費だと話す。アルス古川の周りでは、高齢化によって作業を続けられない農業従事者による耕作放棄地が増えた。彼らにパートで仕事を依頼することもあるが、養液土耕を取り入れたハウスは、高齢者でも負担なく管理できるという。

 高齢化によって特に地方の農業における人手不足が深刻化しているが、彼らが働き続けられる環境を作り、生産量を維持もしくは増産していくことが今後は重要となるだろう。ITを活用した農業では、作業の効率化に加え、蓄積されたナレッジ、ノウハウを誰でも活用できるというメリットもある。ゼロアグリでいえば、センサー情報を元にした適切な養液供給量の分析がそれだ。長年の経験や勘に頼らず、老いも若きも農業に参入できる環境を作ること。その先に農地の拡大があり、農業法人として売上を伸ばしていくチャンスがある。

~ITで攻めの農業:1~投資300万円でも儲かるトマト自動栽培

《中尾真二/HANJO HANJO編集部》
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