米Oracleは現地時間2016年11月5日、クラウド型ERP(統合基幹業務システム)を手がける米NetSuiteの買収計画に関して、非利害関係者が所有するNetSuite株式の過半数を獲得したと発表した。株式公開買い付け(TOB)の条件を満たしたため、11月7日に買収手続きを完了する。

 NetSuiteは会長兼最高技術責任者(CTO)のEvan Goldberg氏と、OracleのLarry Ellison会長によって1998年に創設され、現在世界中で3万社以上の顧客を抱える。Oracleは2016年7月28日に、NetSuiteを1株109ドル(総額約93億ドル)で買収する計画を明らかにしていた。

 Oracleは11月4日時点で、非利害関係者の保有株の53.21%(2177万5553株)、総発行済株式の76.39%(5233万6005株)を取得したという。

 英Wall Street Journal(閲覧には有料登録が必要)によると、NetSuite株式の17.7%を保有する米投資信託大手T. Rowe Priceは同買収計画に反対していた。Ellison氏がNetSuite株式の39.5%を保有しているため利益相反が生じると懸念し、同計画を支持しない姿勢を示した。これを受けNetSuiteとEllison氏は、Ellison氏およびその家族以外の株主からの過半数株取得を条件とすることで合意。当初、TOBの期限は9月15日だったが、10月6日に延期。さらに再延期されていた。

 T. Rowe Priceは10月末に、1株109ドルは安すぎるとして1株133ドルにするようOracleに要求したが、Oracleはこれを拒否。Oracleは、11月4日に過半数を得られなければ買収を断念すると述べていた。NetSuite買収によって、Oracleは10億ドル近い追加収入を獲得し、クラウド事業で100億ドルを創出する最初の企業になるという目的に近づくと、英Financial Timesは報じている。

 NetSuiteの2015年通期の売上高は7億4110万ドルで前年と比べ33%成長した。ただし1億2470万ドルの最終赤字を計上している。

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