中日のGW砲が天敵を粉砕した。開幕前最後の実戦となるヤクルトとの練習試合3連戦。初戦で4、5番コンビが爆発した。4番和田一浩外野手(38)が先制2点打を含む3安打を放てば、5番ジョエル・グスマン外野手(26=オリオールズ2A)はだめ押しの特大ソロ。昨季8勝15敗1分と負け越した苦手ヤクルトの開幕候補・石川を粉砕した。

 煮え湯を飲まされたヤクルトを粉砕したのは主軸2人のバットだった。口火を切ったのは4番和田だ。3回2死一、三塁。エース石川の変化球を完璧にとらえた。右中間を切り裂く適時二塁打で2点を先制した。

 「もうちょっとですかね。ヒットを打ったからいい。打たなかったから悪いというわけではない。そういうところを少しずつ直しながらやっていきたい」。

 得点にはならなかったが5回には石川から左前へ、8回には林昌勇から右前へ運んだ。今季から挑戦している「3冠打法」に悩んだ時期もあったが、トンネルは抜けたようだ。究極を追い求めている和田だけに納得したわけではないようだが、開幕まであと1週間となった時点で「もうちょっと」という領域にまで持ってきた。

 とどめを刺したのは新5番グスマンだった。4-2の7回、右腕橋本の内角寄りの直球を振り抜くと、打球はバックスクリーン左へ突き刺さった。「ガコンッ!」。驚異的なパワーを裏付ける鋭い衝突音が無人のスタンドに響き渡った。

 「いい球だったが、うまく打てた。毎日、少しずつ努力して、いい感じになってきているね」。

 3月12日、阪神との合同練習試合以来の1発。5回にも石川から左翼線へ二塁打を放った。落合監督から“メス”を入れられるなど和田と同様に打撃に悩んでいたが、この日の内容は明らかに上向いていた。

 13安打5得点。攻撃は常に和田とグスマンを中心に回った。昨季、オレ竜の攻撃の中心は「BMW」と呼ばれた森野、和田、ブランコのクリーンアップトリオだった。チーム119本塁打、514得点のうち3人で91本塁打、263打点を稼ぎ出した。落合監督に「打線は真ん中がしっかりしていれば何とかなる」と言わしめた。

 今季、指揮官はさらなる得点力アップを目指して5番に新戦力グスマンを置いた。長打力と確実性を備えた和田の技術。飛ばない統一球をものともしないグスマンのパワーと柔軟性。2人の特徴が発揮され、ここに森野、ブランコが絡んでくれば…。開幕の足音とともに竜党の期待も高まってくる。【鈴木忠平】