松山英樹(24=LEXUS)が、日本勢初の世界選手権シリーズ優勝に王手をかけた。4バーディー、ノーボギーの68で回り、通算17アンダーの199で後続に3打差をつけて単独首位の座をキープ。米ツアー6度目の最終日最終組で逃げ切りVなら自身米ツアー初。“準メジャー”の大舞台で丸山茂樹に並ぶ日本勢最多の通算3勝目を狙う。谷原秀人(37)は通算3オーバーの46位となった。

 単独首位でも「刻む」選択肢はなかった。最終18番パー5。同組2人を尻目に、松山だけが池越えの2オンにトライ。残り248ヤード、3番ウッドのフェードボールで力強くグリーンを捉え、珍しく満足げな笑みを浮かべた。最終組では唯一のバーディーで締めに「2打と3打差では大きく違う。いい位置」と言った。

 その18番の第1打は、前週、投入した新ドライバーで他の2人の飛距離を上回った。前週からシャフトだけ慣れ親しんだものに替えて安定感を増し、フェアウエーキープ率は3日間で最高の64・29%を記録。粘りもある。4番はグリーン手前の難しいバンカーから寄せてしのぐなどノーボギー。世界ランク10位の底力を見せつけた。

 昨年覇者の同組のノックスが「英樹はエクセレントなプレーをした。スーパーベストなプレーをしなければつかまえることはできない」と言ったように、攻めの姿勢でライバルたちに重圧を与えた。「自分のスタイルを崩さず、貫くことが大事なこと」と心構えを語ったことがある。米ツアーでの2勝はともに逆転勝ち。今回は追われる立場でも「バーディーを取らないと勝てない」と、ぶれない。

 世界選手権シリーズ初制覇で日本勢最多に並ぶ3勝目なら、その価値は計り知れないが「勝ってから話したい」とひとまず制した。「ベストを尽くすことだけを考えて残りの時間を大事にしたい」。練習場に直行し、いつものように日が暮れるまで打ち込んだ。

 ◆世界選手権シリーズ 99年に始まり、米国、欧州、日本など世界6大ツアーの共催。メジャーに次ぐ位置づけで、世界ランク上位者と限られた出場枠による選手のみの戦い。現在は年間4大会行われる。日本選手では団体戦の02年W杯で伊沢利光、丸山茂樹が優勝。個人戦では01年マッチプレーの谷口徹と14年HSBCチャンピオンズの岩田寛の3位が最高位。