2016年10月19日から21日にかけて東京ビッグサイトで開催している「ITpro EXPO 2016」。アマゾン ウェブ サービス ジャパンの安田俊彦 事業開発本部 本部長は20日、同社のパブリッククラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」について講演した。講演の題目は「ビジネスイノベーションを加速する、AWSのクラウドプラットフォーム」。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン の安田俊彦 事業開発本部 本部長
アマゾン ウェブ サービス ジャパン の安田俊彦 事業開発本部 本部長
(写真:新関 雅士、以下同じ)
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 講演の冒頭、安田本部長はAWSについて「米アマゾン・ドット・コムのDNAを持ったクラウドサービスだ」と話し、アマゾン・ドット・コムの経営理念や企業文化について紹介した。同社の経営理念などを振り返るために、1997年に株主に送った手紙を引用した。この手紙では、「お客様への徹底的なフォーカス」と「長期的視点での投資を継続」に注力するとしている。

 このうち、長期的視点での投資は、テクノロジーに対する投資を含んでいる。安田本部長が最近の取り組みの一例として紹介したのが、音声認識機能を搭載したクラウドサービス「Alexa」だ。

 Alexaは、マウスやキーボードに置き換わる次世代のインタフェースとしてアマゾン・ドット・コムが開発、提供してきたもの。SDK(ソフトウエア開発キット)を公開しており、サードパーティがAlexaに対応したアプリケーションを開発できる。既に1000種類以上のアプリが公開されている。「Alexaの利用範囲は幅広い。車を運転しているときなど、手がふさがっているときに利用できるのがメリット」(安田本部長)。

 アマゾン・ドット・コムは、Alexaのインフラをクラウド上に構築している。音声認識や自然言語処理などの機能は、膨大な計算能力を要するからだ。「Alexaはクラウドから提供しないと実現できないサービスだ」(安田本部長)。

3カ所のデータセンターでデータを保持

 安田本部長は、AWSの堅牢性についてもアピールする。「AWSは日本国内では2万社以上が導入している。最大の特徴は堅牢性だ」。

AWSの堅牢性をアピールする安田本部長
AWSの堅牢性をアピールする安田本部長
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 AWSは世界14カ所の地域にデータセンターを保有している。特定のリージョンで、ストレージサービスの「Amazon S3(Simple Storage Service)」にデータを保管した場合、同時に3カ所のデータセンターにデータを保持する。「もし地震や停電などで、3カ所のうち2カ所のデータセンターで障害が発生しても残ったデータセンターからデータを読み出せる」(安田氏)。

 顧客重視の考え方の一つとして、新機能を搭載したサービスの追加も継続している。2012年には、1年間で159個のインサービスを追加。1年間で追加するサービス数はその後も増え続けている。2014年には516個、2015年の1年間では722個となった。

 IoT(インターネット・オブ・シングズ)向けの機能追加も欠かしていない。IoT向けアプリの構築を想定した「AWS IoT」だ。

 安田氏は、IoTのシステムはデータの収集、保存、処理・分析などの機能の組み合わせで、システムが構築されるという。データの保存にはS3が、データの処理には「AWS Lambda」などが利用される。IoTのデータ分析で得られた結果を基に端末を管理するのに使われるのがAWS IoTである。

 安田本部長は「AWSの本質は、個々のサービスの組み合わせでアプリケーションを構築することだ」と話した。個々のサービスを利用して、ユーザー企業はそれぞれの需要に合わせたシステムを構築する。「AWSの本質は、ブロックを積み上げてシステムを構築するビルディングブロックのようなもの」(安田本部長)とした。