ソラコムは、2016年10月19日から21日にかけて東京ビッグサイト開催されている「ITpro EXPO 2016」で、新しい無線技術「LoRaWAN」を利用したIoTソリューションを展示した。LoRaWANはIoTに適した無線通信規格である「LPWA」(Low Power、Wide Area)の一つ(関連記事:IoT向け通信に価格破壊をもたらす「LPWA」)。1回に11バイトのデータしか送れないのと引き換えに、半径5kmもの長距離通信ができる。日本では920MHz帯を利用するため、運用の際に通信事業者の免許が不要な点も特徴だ。大量のデータを送る必要がない水道/電気メーターや農業用センサーなどに向くとする。

 LoRaWANを手掛けるM2Bコミュニケーションズが技術面で協力している。同社は、日本で唯一、LaRaWANの標準化団体「LoRa Alliance」のコントリビューターになっているという。ソラコムは2016年春にM2Bコミュニケーションズに出資している。

 LoRaモジュールが送信したデータをLoRaゲートウエイを経由して「SORACOM」に集約することで、SORACOMの様々なサービスを利用できる。ソラコムはLoRaWANソリューションを「LoRaWAN PoCキット」として提供する。価格は300万円。キットには、LoRaモジュール10台、LoRaゲートウエイ1台、SORACOM Air 1枚、ゲートウエイ設置サービス、利用トレーニング(1日集合研修)、スタート時のコンサルティングが含まれる。

M2Bコミュニケーションズが提供するLoRaモジュールの内部。小型コンピュータのArduinoに、LoRaWANの通信を行うモジュールを組み合わせた構成になっている
M2Bコミュニケーションズが提供するLoRaモジュールの内部。小型コンピュータのArduinoに、LoRaWANの通信を行うモジュールを組み合わせた構成になっている
[画像のクリックで拡大表示]
屋内用のLoRaゲートウエイ
屋内用のLoRaゲートウエイ
[画像のクリックで拡大表示]
屋外用のLoRaゲートウエイ
屋外用のLoRaゲートウエイ
[画像のクリックで拡大表示]

 既に利用事例もある。博報堂アイ・スタジオは、ソラコムのLoRaソリューションを利用して、遭難対策を目的とした「TREK TRACK」というサービスの実証実験を行っている。携帯電話の電波が届かない山中で登山者の位置情報を可視化するサービスだ。

 登山者にLoRaWANモジュールを内蔵したデバイスを渡し、山中に設置したLoRaゲートウエイを経由して、1分に1回、位置情報をクラウドに送信。これにより登山者の位置情報をリアルタイムに可視化する。2017年に正式サービスを開始予定だという。