調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)は2016年10月19日、国内企業のIT投資動向に関する調査結果を発表した。これによると「IoT/M2M」の新規導入の可能性が前年度より大きく伸び、調査した110項目中トップとなったという。同社の舘野真人シニア・アナリストは「この1年でIoT/M2Mは単なるバズワードを脱し、具体的な投資対象となった」と説明する。

 インフラ/デバイス、OS/ミドルウエア、アプリケーション、セキュリティ/サービスの4分野で全110の製品/サービスに対する投資意欲を調査した。IoT/M2Mは新規導入可能性が10.1%、投資増減指数が4.11ポイントと、それぞれ前年度より1.3ポイント、1.65ポイント伸びた。

 「AI/機械学習」に対する投資意欲も高かった。新規導入可能性が9.0%、投資増減指数が5.07ポイントである。こちらも前年度からの伸びが、それぞれ1.9ポイント、1.4ポイントと高い値を示しており、「ユーザー企業から有力な投資対象として認識されていることが読み取れる」(舘野シニア・アナリスト)。

 アプリケーション分野では「マーケッティング・オートメーション」に対する投資意欲が高かった。新規導入可能性が7.5%で前年度(7.4%)とほとんど変わらないが、投資増減指数が4.45ポイントと前年度(2.22ポイント)から倍増した。「裾野の広がりはさほどでもないが、既に活用している企業は有効性を認識しており、投資額を増やしている」と舘野シニア・アナリストはみる。

 調査ではIT予算の増減傾向も調べている。2016年度にIT予算を増額した企業の割合は28.5%で、前年度(21.5%)より大幅に増えた。一方、減額した企業の割合は9.7%で、前年度(8.8%)より微増した。投資分野としては情報セキュリティ対策費用の伸びが著しい。今年度はIT予算に占める割合が16.4%と2001年の調査開始以来、最高を記録したという。

 調査は2016年8月18日から9月3日にかけて、インターネット上で実施。2685件の有効回答を得た。ITRでは詳細な結果をまとめた報告書を11月中旬に発行する予定。