2016年10月19日から21日まで東京ビッグサイトで開催している「ITpro EXPO 2016」でSAS Institute Japanは、踊るロボットによるセンサーデータのリアルタイム解析のデモ展示を行っていた。

デモダンス中のNAO。24の関節に取り付けられたセンサーは、角度、温度、剛性の情報をセンシングする。本体のメインジャイロセンサーの情報とあわせて解析システムに送る。
デモダンス中のNAO。24の関節に取り付けられたセンサーは、角度、温度、剛性の情報をセンシングする。本体のメインジャイロセンサーの情報とあわせて解析システムに送る。
(撮影:中尾 真二、以下同じ)
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 同社は統計解析を専門に40年以上の実績を持つ。金融機関や医薬品開発におけるビッグデータ解析などを得意分野とする。そのSASがロボットの展示をしたのは、製造業にも高まるビッグデータ解析のニーズに対応するためだという。

 例えば、ラインの稼働状況、品質検査で上がってくる検査データ、各種センサー情報をモニタリングし、生産性、歩留まりの管理・予測に応用、さらに故障予測、安全管理に役立てることができる。

 デモは、その例としてロボットのジャイロセンサーや関節ごとのアクチュエーターのデータをリアルタイム監視し、転倒を予測したら警告を出すというもの。ブースの一角ではAldebaran Robotics SAS製の「NAO」が軽快なダンスを披露している。背後のモニターでは、合計25種類のデータを選択表示。大きなメーターのような表示が転倒確率を示すメーターだ。

NAOのモニタリング用ダッシュボード画面。表示するセンサーチャンネルは任意に設定可能。今回は転倒予測のデモのため、転倒可能性を示すメーターが表示されている。
NAOのモニタリング用ダッシュボード画面。表示するセンサーチャンネルは任意に設定可能。今回は転倒予測のデモのため、転倒可能性を示すメーターが表示されている。
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 ブース担当者によれば、ロボットからのデータだけでなく、製造ラインからの各種センサーデータをリアルタイムに解析するソリューションが提供可能だという。解析は、数値モデル解析のほか、ベイズ推定、機械学習といった先端技術も駆使するという。ベイズ推定や機械学習は、リアルタイム判定、予測判定において重要な技術だ。

 データ収集の部分は、SASのパートナー企業がセンシングやテレメトリーシステムの構築を担当する。製造業の業種を問わず要件にあった監視・解析システムを構築可能だが、「最終的に重要なのは、解析したデータをどのように活用するか」(担当者)とのことだ。