日立製作所は2016年10月18日、グローバルに事業を展開している製造業に向けて、国内外の複数の拠点や社外のサプライヤーとデータを共有できるようにするクラウドサービス群「クラウド型設計業務支援サービス」を発表した。10月19日に販売を開始し、2017年2月から順次提供を開始する。

クラウド型設計業務支援サービスの概要
クラウド型設計業務支援サービスの概要
(出所:日立製作所)
[画像のクリックで拡大表示]

 二つのクラウドサービスで構成する。「設計業務ナビゲーター」は、製品仕様書や図面、プロジェクトの進ちょくといった設計業務に関連するデータをクラウド上に集約して一元管理し、画面上で表示できるサービスである。価格は個別見積で、2017年2月に提供を開始する。

 もう一つの「3D-VDIサービス」は、3次元CADやCAEなど、高い性能が求められるソフトを快適に利用できるワークステーション環境を、仮想デスクトップ型で利用できるサービスである。価格は個別見積で、2017年3月に提供を開始する。

 これらのサービスを利用することによって、拠点が地理的に分散していてもデータを迅速に共有し、設計プロセスを共通化することができるとしている。

 背景には、製造業においてグローバルに分散する複数の拠点やサプライヤー同士が協力し合って製品設計を行っている、という状況がある。現状ではファイル転送サービスやメールなどの手段で製品仕様書や図面などのデータを共有しているが、3次元CADやCAEのデータは容量が大きくファイル数も膨大でデータの共有に時間がかかっている。

 日立グループの複数の部門で先行的に利用を進めている。昇降機事業を手がける日立ビルシステムは、エレベーターのリニューアル工事にともなう、壁面などの構造物に関する3次元データの共有にかかる時間を約50%短縮した。