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NVIDIA,「GeForce GTX 1050」「GeForce GTX 1050 Ti」を発表。Pascal世代のエントリー市場向けGPU
北米市場における搭載グラフィックスカードの想定売価はGTX 1050が109ドル(税別),GTX 1050 Tiが139ドル(税別)で,「Founders Edition」の設定はない。パートナー各社の製品は,日本時間10月25日22:00に全世界で発売になる予定だ。
本稿では,そんなGTX 1050とGTX 1050 Tiの製品概要について,事前に開催された報道関係者向け電話会議の内容を基にお伝えしていきたい。なお,電話会議で製品説明にあたったのは,米NVIDIAでGeForce製品のシニアプロダクトマネージャーを務めるJustin Walker(ジャスティン・ウォーカー)氏である。
「GP107」コアを採用するGeForce GTX 1050シリーズ
TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力はいずれも75Wで,リファレンスデザインとしては補助電源コネクタを持たない。「ただし,カードメーカーが,より高い動作クロックを目指して補助電源コネクタを搭載することはある」(Walker氏)とのことだ。
振り返ってみると,PascalアーキテクチャのGPUだとこれまで,128基のCUDA Coreを中心に,スケジューラやロード/ストアユニット,超越関数ユニット(以下,SFU),L1キャッシュ,テクスチャユニットをまとめたものを「Streaming Multiprocessor」(以下,SM)――そこにジオメトリエンジン「PolyMorph Engine」を加えたものは「Texture Processor Cluster」(TPC)だ――としていた。そして,それを5基束ねてラスタライザたる「Raster Engine」と組み合わせた“ミニGPU”としての「Graphics Processor Cluster」(以下,GPC)を用意し,GPCの数によって最終的なGPUの規模を調整していたわけだが,このルールを当てはめると,768基というGTX 1050 Tiのスペックは,非常に中途半端なものに見える。
ブロック図が公開されていないので現時点で断言はできないものの,ひょっとするとGP107ではGPCあたりのSM数が従来の5基から3基に減っているという可能性もあるだろう。
そのほか主なスペックは,従来製品ともども表にまとめたので参考にしてほしい。
メモリインタフェースは128bitで,メモリクロックは7000MHz相当。計算するとメモリバス帯域幅は約112GB/sとなるが,Pascalアーキテクチャで採用した新世代のメモリ圧縮技術により,スペック以上の実効帯域幅を持つとのことである。
ただし,GeForce GTX 1060シリーズより上の製品でキーワードとなっている「VR」(Virtual Reality,仮想現実)は,GeForce GTX 1050シリーズでサポートしない。スペック的に非力すぎるということなのだろう。
また,GeForce GTX 1060が非対応なので当然と言えばそれまでだが,GeForce GTX 1050シリーズもSLIはサポートしない。
「GTX 650比で3倍の性能」が謳い文句に
GeForce GTX 1050が「GeForce GTX 950」の後継モデルであることは言うまでもないが,Walker氏が電話会議で強調していたのは,2012年に登場したGeForce 6シリーズのエントリーミドルクラス市場向けモデル「GeForce GTX 650」(以下,GTX 650)比で3倍の性能を持つということだ。4年前の製品であるGTX 650をWalker氏が「3年前の製品」と紹介していた理由はよく分からないが,ともあれ,このクラスからの買い換えに向くということなのだと思われる。
もちろんこれは,「北米市場におけるPlayStation 4とXbox Oneの発売が2013年のことなので,新世代ゲーム機の登場に合わせてゲームの描画レベルが一気に上昇した」という話以上でも以下でもないのだが,いずれにせよNVIDIAは,「2013年にゲーム側の要求レベルが一気に上がってしまったので,それ以前のエントリー市場向けGPUではいろいろと厳しいですよ。だからそろそろ買い換えましょう。3年前は高嶺の花だった性能が,いまや100ドルちょっとですし」と言っているわけである。
GeForce GTX 1050シリーズの登場で,Pascal世代のデスクトップPC向けGeForceは一通り揃ったことになる。熱心なゲーマーというよりも,この秋から冬にかけて,久しぶりにグラフィックスカードを買い換えたいというカジュアルな層に向けた製品ということになると思うが,その性能はどれほどだろうか。4Gamerではカードを入手し次第テストしてみたいと考えているので,お楽しみに。
NVIDIAのGeForce製品情報ページ
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