業界動向
Razerがオーディオ技術企業「THX」を買収
劇場や音響機器のオーディオ技術として,映画ファンを中心にお馴染みの同社だが,2002年にはPC用の認証プログラム事業をスタートさせている。Creative TechnologyがSound BlasterシリーズでTHXの技術を採用したり,2007年に発売されたRazer製のスピーカー「Razer Mako 2.1 speaker system」でもTHXの技術を使っていたりするので,聞いたことのある読者も少なくないだろう。
2012年にLucasfilmがThe Walt Disney Companyに買収された時点で,THXは独立企業となり,2016年には「THX Live!」という新たなプログラムで,ライブハウスやコンサート向けの音響最適化にも事業を広げるなど,積極的な活動を続けていた。
THXのCEOであるTy Armad-Taylor(タイ・アーマッド・テイラー)氏は,買収を合意した理由として,「Razer側が,THXに在籍しているワールドクラスのオーディオエンジニアと,数々の30年あまりにわたって蓄積してきた知的財産に興味を示していたからだ」と説明している。
また,本稿の冒頭でも紹介したとおり,THXは今後も独立した企業として独自の経営を行っていくことなるが,Taylor氏は同時に「我々も,これまで培ってきた経験を活かし,ゲーム業界がオーディオとビジュアルを融合させるバーチャルリアリティに向かっているなかで,我々はオーディオ面を支援できる」とも述べている。これは,Razerが主導するオープンソースのVR HMD規格である「OSVR」(Open Source Virtual Reality)に,同社が協力していくということなのかもしれない。
一方,RazerのCEOであるMin-Liang Tan(ミンリャン・タン)氏も,THXが独立した活動を続けることを強調したうえで,この買収が「ゲーマー向け製品とより幅広いエンターテインメントの領域に,Razerのリーダーシップを広げていくだろう」とコメントしている。
Razer傘下に入ったTHXが,ゲーム分野でどのような活動をしていくのかを楽しみにしたい。
THX 公式Webサイト(英語)
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