MotoGP 日本グランプリ ヤマハ
Movistar Yamaha MotoGPのバレンティーノ・ロッシとホルヘ・ロレンソは、強い決意を露わに見事な走り。それぞれトップと3番手を獲得して日本のファンを歓喜させた。

バレンティーノ・ロッシはスタートをやや遅らせ、前方にクリアスペースを確保してからコースイン。ひとたびリズムをつかむと素早くペースを上げ、最初のアタックで暫定3番手につけた。

2回目のアタックでは1分44秒736へ更新したものの、順位ではチームメイトのロレンソに先行されて4番手に後退。次のトライでもさらに1000分の5秒短縮したが、全体のペースが上がったためポジションアップはならないまま、残り5分でピットに戻った。

タイヤ交換を終え、1分後にコースに戻ったバレンティーノ・ロッシはその時点で6番手だったが、再び激しくプッシュすると、セッション終盤で第2、第3、第4セクションでトップタイムをマーク。1分43秒954のファステストラップを叩き出して一気にトップに躍り出た。最後の1ラップは第1、第2セクションでタイムを短縮したもののタイムは更新ならず。それでもトップを守り切り、自己通算64回目のポールポジションを獲得した。2位との差は0.180秒。

一方のホルヘ・ロレンソは、まさに超人的なパフォーマンス。フリープラクティス第3セッションでは、第2コーナーで激しいハイサイド・クラッシュ。メディカル・センターでチェック後、ヘリコプターで宇都宮市内の病院へ運ばれてCTスキャン検査を受けた。その結果、走行可能と診断されたためすぐまたコースへ戻り、フリープラクティス第4セッションに出場して3番手を獲得した。

Q2に進出したホルヘ・ロレンソは、十分なスペースを確保するためロッシよりさらに遅れ最後尾からスタート。初めは慎重に走り出し、2周目のアタックで1分44秒399を記録すると、10番手から一気に2番手までポジションアップ。その後、残り7分でピットに戻りタイヤ交換を行った。

素早くコースに復帰するも、その時点で順位をひとつ下げて3番手となるが、ここからもう一度、挽回しようと激しくプッシュしていったが、5ラップ目のアタックでは更新できず、逆にロッシがトップに浮上したことで4番手へとポジションを下げてしまった。しかしロレンソはあきらめず、最終ラップでトップから0.267秒差の1分44秒221を記録。明日の決勝はフロントロー、3番手の位置からスタートすることとなった。

中須賀、16番グリッドから決勝に臨む
フリープラクティス3までの総合結果で上位10台が公式予選Q2に進出し、スターティンググリッドのトップ10グリッドが決定。そしてフリープラクティス3までの総合11位以下は公式予選Q1に進み、スターティンググリッドの12番以降が決定する。

そのフリープラクティス3は午前9時55分から45分間で行われたが、開始から約20分後、YAMALUBE YAMAHA FACTORY RACINGの中須賀克行はヘアピンカーブで転倒を喫してしまった。これで右肩を強打した中須賀だったが、続くフリープラクティス4そして公式予選Q1に出走。そのQ1で中須賀は全セッションを通じて自己ベストとなる1分46秒627を記録して16番グリッドから決勝レースのスタートを待つことになった。

なお、中須賀の日本グランプリでの自己ベストは昨年の公式予選Q1で記録した1分45秒496で、目標にしていたこのタイムには及ばなかった。もちろんこれには、全車統一のECUや、今年からタイヤがミシュランに変更されたことなどが関与している。

エスパルガロが3列目スタート。スミスは果敢に挑み5列目
トップ・サテライトを目指すMonster Yamaha Tech 3のポル・エスパルガロは、グリッド3列目を獲得。午前中に行われたフリープラクティス第3セッションでは、昨日までの勢いをキープしながらセットアップを継続。45分間のセッションをノンストップでプッシュし続け、総合9番手を獲得してQP2に進出した。エスパルガロはここでもさらにペースを上げ、セッション終盤で1分45秒232の自己ベストを記録。ロレンソに1秒差まで迫り9番グリッドを獲得した。決勝ではロケットスタートを決め、前方集団を抜いて好成績を目指す。

ブラッドリー・スミスは、右膝の怪我が完治していない状態だが、果敢にも予選を走り切りグリッド5列目を獲得した。午前中のフリープラクティスでは17ラップを走行。走るたびに力強さを増し、セッション終盤では、ウイーク初日を4秒近く上回る好タイムを記録。これによって総合20番手を獲得した。午後からのQ1でも見事なペースを披露。膝を十分に動かせない状態にもかかわらず、4ラップ中の最終ラップで自己ベストを更新して15番手を獲得した。決勝は完走を目標にベストを尽くす。

Movistar Yamaha MotoGP
バレンティーノ・ロッシ(予選トップ)
「シーズン3度目のポールポジション! 今年は予選から強さを発揮できているので、とても満足しているよ! 昨日まではマシンのバランスに悩まされ、その上、僕自身の身体の状態も100%ではなかったからあまり気分が良くなかったんだ。フリープラクティス第4セッションでようやくマシンのバランスが大幅に改善され、ラップタイムも上がって、第11コーナーのブレーキングもうまくいくようになった。ポールポジションからのスタートはとても重要。あとは明日の決勝を待つだけ」

ホルヘ・ロレンソ(予選3番手)
「時間が経つごとに状態は良くなっているよ。痛み止めの注射と、僕自身のアドレナリンが、心身の回復を早めてくれているんだ。かなり激しく転倒してしまい、とくに左脚には大きな衝撃があったので、怪我がひどくないことを祈っていた。幸いにも、こうして予選に出場することができ、とくに2回目の走行の1周目は素晴らしかったと思う。良いポジションを確保することができて本当にうれしいよ。ロッシのタイムはすごいね。そしてマルケスも。ポールポジションは無理だったけれど、病院から戻った時点で想像していたよりはずっといいよ」

マッシモ・メレガリ (チーム・ディレクター)
「セッティングで苦労したり、ホルヘがクラッシュしたり、どのセッションも本当に大変だった。だから、ふたりが揃ってフロントローに並ぶことなど想像もできなかった。しかも最大のライバルのホームコースだということを考えればなおさらだ。フリープラクティス第4セッションではバレンティーノのマシンのセッティングが大幅に向上。ハンドリング性能が改善されたことでより乗りやすくなり、彼の思い通りの走りができるようになった。体調は依然として完璧ではなかったが、それを超えるくらいのパフォーマンスでファステストラップを叩き出した。ホルヘの3番手もまた見事だった。走れるかどうかさえ分からない状況だったのに、本当に勇敢な走りを見せてもらった。また、難しい問題を克服したチームの仕事ぶりも素晴らしかった。ふたりのフロントローは最高だ!」

YAMALUBE YAMAHA FACTORY RACING
中須賀克行(予選16番手)
「フリープラクティス3中にヘアピンで転倒して右肩を強打してしまいました。ちょうど砂が浮いているところに乗り上げそうになり、危ないと思った瞬間に転んでいました。マシンを降りてからは右肩が痛くてたまらなかったのですが、その後のフリープラクティス4、そしてQ1を走っている間は、痛みを感じることはまったくありませんでした。それほど集中して走れているし、何よりこのMotoGPという舞台で走れていることが本当に楽しいです。目標にしていた昨年の自己ベストには迫れませんでしたが、それでもマシンに関しては順調にセットアップが進んでいるし、データも残せています。もちろんライダーとしては明日の決勝がいちばん大切です。ただ、順位を気にするのではなく、自分の走っているポジションで、しっかりとライバルと戦えるようにしたい。そしてポイント圏内でゴールすることが目標です」

尾方宏彰(チーム監督)
「今日も、さまざまなデータを集積するために、中須賀選手にはセッティングを大きく振ったマシンに乗ってもらいました。フリープラクティス3ではヘアピンで転んでしまいましたが、あのときはちょっと止まりにくい状態だったかもしれません。Q1では、さらに試したいセッティングがあったのですが、タイヤが温まるまでの時間などでチーム内が少々ばたついてしまい、時間管理がうまくいきませんでした。おそらくあと1周走れていたら、さらにタイムを詰められたと思います。明日の決勝に向けて、いくつかのコーナーで試したいセッティングがあるので、朝の走行でこれを確認します。これが決まれば、中
須賀選手も気持ちよく走れると確信しています」

Monster Yamaha Tech 3
ポル・エスパルガロ(予選9番手)
「3列目を獲得できたことに満足しないとね。なぜなら今回は、ここ数戦のなかでも最も難しい状況だったのだから... たとえばアラゴン。あそこではウイークを通じて速かったにもかかわらず、Q2が終わってみるとグリッドは4列目。そう考えると、今日の9番手は喜ぶほどではないものの、少なくともレース序盤でトップグループについて行くチャンスを与えてくれると思うんだ。レース序盤の最大の目標は、できるだけ多くのドゥカティ勢をかわすこと。彼らは加速で優れているので、あとから抜き返すのは大変なことだからね。タイヤのチョイスは、考え方はすでにはっきり決まっている。そして幸いにも、僕らのリズムは1ラップのものよりもレース全体のほうが上なんだ。フリープラクティス4ではまったく別のセッティングを試したけど、期待したほどの効果は得られなかった。そこで予選ではもう一方の方向性を選択することになり、その新しいセッティングに慣れるまでに、少し時間がかかってしまったんだ。2回目の走行ではフィーリングが格段に良くなったので、明日のウォームアップでもこれを採用したいと思っているよ。そうすれば決勝でも最善の順位を獲得できるだろう」

ブラッドリー・スミス(予選15番手)
「怪我の状況を考えれば、予選15番手は想像をはるかに超えている。だからこれ以上の喜びはないよ。チームのみんなが素晴らしい仕事をしてくれ、マシンに最善かつ繊細な変更を加えてくれたことで、僕の膝がどんどん楽になっていったんだ。そしてセッションごとに少しずつペースが上がっていった。もちろん、予選は距離が短く、決勝は24ラップと長いのだからずっと大変だろう。でも今日こうしていい走りができたので、明日もトライしたいんだ。タイヤは前後ともに順調。とくに加速性が要求されるこのコースでは、リアのグリップが重要になるので、おもにそこに注意を注いでいる。今日までのところは、15番手獲得ということでしっかりチャンスをつかんだと思っている。明日の目標は24ラップを走り切ること」

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カテゴリー: F1 / MotoGP