「お金が無い」「異性とうまく付き合えない」上昇傾向 気になる独身…独身者が独身で留まっている理由とは?(詳細版)(最新)

2016/10/15 05:18

このエントリーをはてなブックマークに追加
先行記事【「まだ若い」じきに「相手が見つからない」…独身者が独身で留まっている理由とは? (最新)】で、国立社会保障・人口問題研究所が2016年9月15日に発表した、日本国の結婚や夫婦の出生力の動向などを長期的に調査・計量する「出生動向基本調査」の最新版「第15回出生動向基本調査」を基に、独身の人が結婚せずに独身で留まっている理由について焦点を当てた。今回はその項目に関し、同調査の過去分で取得可能な値を逐次抽出し、年月の経過と共に生じた独身者の心理・心境の変化をかいま見ることにする(発表リリース:【第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)】)。


スポンサードリンク


今調査に関する調査対象母集団や集計様式に関しては、出生動向基本調査に関わる先行記事の【日本の「恋愛結婚」「見合い結婚」の推移】を参照のこと。

先行記事で解説の通り、回答対象となる独身者が独身で留まっている理由として、24歳までが「若すぎる」「仕事・学業に打ち込みたい」「必要性を感じない」が上位、25歳以上になると「適当な相手に巡り合わない」がトップとなっている。

↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(男女18-24歳(2015年))(再録)
↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(男女18-24歳(2015年))(再録)

↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(男女25-34歳(2015年))(再録)
↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(男女25-34歳(2015年))(再録)

選択肢をよく読めば分かるように、点線で分割した左側5つは「結婚”しない”理由」(自分の意思が強い)、右側5つは「結婚”できない”理由」(本人の意思とはあまり関係が無く、外部的要因が強い)となっている。

それではこれらの調査期間別における結果とその推移はどのようなものだろうか。まずは18-24歳の分を確認する。

↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(男性・18-24歳)
↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(男性・18-24歳)

↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(女性・18-24歳)
↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(女性・18-24歳)

男性は「まだ若過ぎる」が最上位項目だが、女性は直近年では勢いよく上昇を続ける「仕事・学業に打ち込みたい」が「まだ若すぎる」「必要性を感じない」を追い抜きトップについている。同時に女性では「自由や気楽さを失いたくない」が急降下の形で減少しており、女性の社会進出による心境変化が独身の維持に影響していることがうかがえる。

男性では「まだ若すぎる」が減少から増加へ、他方「自由や気楽さを失いたくない」が減少。自由人的、モラトリアム的な心境による独身感が減少する一方で、認識している適齢期を少し上乗せしている感はある。

金銭面では男女とも「結婚資金が足りない」、女性の「住宅のめどが立たない」が上昇中。ただし前者は直近数回分ではやや頭打ちになった雰囲気も見られる。他方、絶対値はまだ低めだが、男女とも「異性とうまく付き合えない」が確実に増加しており、対人関係の不器用さを認識し、それが独身で居続けざるを得ない理由であると理解している人が増加しているのが分かる。気になる動きには違いない。

一段階年齢階層が上の25-34歳となると、また違った動きを見せる。

↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(男性・25-34歳)
↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(男性・25-34歳)

↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(女性・25-34歳)
↑ 年齢階層別にみた独身に留まっている理由(三つまで選択可)(女性・25-34歳)

男女ともに経年変化の動きはほぼ一致しており、「しない理由」では「仕事・学業に打ち込みたい」のみが上昇し、あとは横ばいか減退、「できない理由」では「適当な相手にめぐり会わない」がトップに違いないが、「異性とうまく付き合えない」「結婚資金が足りない」「住宅のめどが立たない」などが増加している。さらに女性では「親や周囲が同意しない」が減っており、親族のしがらみが結婚の障壁となっている事例が減っていることがわかる。キャリア志向、仕事優先主義は男女ともに増加しているのが興味深い。もっともここ数年では頭打ちの気配もあるのだが。

他方、増減動向では、「仕事・学業に打ち込みたい」は男女ほぼ同じ動きだが、「異性とうまく付き合えない」は女性が急上昇、「結婚資金が足りない」は男性では頭打ちになっているものの女性が上昇を継続しており、「結婚したくてもできない」観点で、女性がより一層難儀しているようすがうかがえる。さらに女性に限り「自由や気楽さを失いたくない」が減退を継続しており、結婚願望の強さを感じることができる。

はじめの一歩ともいえる「適当な相手にめぐり会わない」が高率を維持している一方で、他の要因、しかも自分自身の意思で無い部分での障壁が高くなっているのでは、結婚のハードルがますます上がるように思えるのも致し方あるまい。



今回の継続調査結果の動向を見た限りでは、独身に留まる理由の傾向として

・全体的に「適当な相手にめぐり合わない」

・25歳未満は「まだ若い」「必要性を感じない」「仕事・学業に打ち込みたい」がトップ3

・25歳以降は「必要性を感じない」「自由や気楽さを失いたくない」、男性は加えて「結婚資金が足りない」

・特に25歳以降では「適当な相手にめぐり合わない」が大きくなる

・全体的に(現時点での絶対値は低いものの)「異性とうまく付き合えない」が継続上昇中

などが挙げられる。若年女性層の社会進出に伴う「結婚は後回し」的な傾向の強化、異性との付き合いの苦手感、お金周りの難儀さから独身に留まっている認識の高まりは、昨今の社会問題とも合わせ、十分以上に注目しなければならない動きといえよう。


■関連記事:
【日本の出生率と出生数】
【出産や育児で困る・不安事、トップは「育児費用が負担に」】
【出産で会社を辞めた女性達、何があれば仕事を続けてた?】
【結婚したくない理由、男は「自由時間が減る」・女は「幸せを見いだせない」】
【結婚相手に求めるのは「人柄・性格」「価値観」、女性は安定感を重要視】


スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS