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2016年10月14日(金)

『あくしず戦姫』特別インタビュー。鈴木貴昭氏とMC☆あくしず編集部に魅力を聞く

文:麦茶ん

 Donutsより2016年秋配信予定のiOS/Android用アプリ『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』。についてのインタビューを掲載する。

『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』

 『あくしず戦姫』は、兵器・戦史・軍事情勢などを美少女要素満載で紹介するミリタリーエンターテインメントマガジン『MC☆あくしず』の世界観を、Donutsがアプリゲーム化した超ド級!兵器美少女RPG。

 このたび、本作において監修を務める鈴木貴昭さんと、ゲーム制作に全面協力するMC☆あくしず編集部の方々へのインタビューが実現。創刊10周年を迎える『MC☆あくしず』の思い出話やアプリの魅力をたっぷり語っていただいた。

『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』
▲鈴木貴昭氏。『ガールズ&パンツァー』の考証・監修や『ハイスクール・フリート』の原案などを手掛ける一方、『MC☆あくしず』のライターも務めている。

すべては10年前の与太話から始まった

――まずは本作の題材である『MC☆あくしず』の創刊当初のお話をお聞かせください。

鈴木貴昭氏(以下、鈴木):『MC☆あくしず』はもともと、『ミリタリー・クラシックス』という硬派なミリタリー雑誌から生まれたんです。島田フミカネさんや野上武志さんがそれぞれのコーナーを連載される中、私もライターとして参加しました。その3人で“海軍メイドさん事件(※)”という与太話を掲載したら思っている以上に反響が大きくて(笑)。

 「こういった柔らかいネタでも独立して連載していけるのではないか?」と盛り上がったのが『MC☆あくしず』を創刊するきっかけでした。また、そのころに発行した『萌えよ!戦車学校』がAmazon書籍ランキングで1位を獲得したので、流れに乗って「連載できる媒体を作れたら……」という思いもありましたね。

※大戦期のドイツが自国に来た日本帝国海軍の武官にメイドさんをつけていたという史実をもとに、元々はイギリス寄りだった帝国海軍が第二次世界大戦のころにドイツ寄りになっていたのは、それが理由ではないかと考察した話。

MC☆あくしず編集部:さらに『ミリタリー・クラシックス』で、島田フミカネさんが戦闘機や戦車などを美少女擬人化したイラストを描いていたこともあり、そうした擬人化イラストや『萌えよ!戦車学校』などを掲載できる媒体を創刊しようということで、2006年に『MC☆あくしず』を立ち上げました。

鈴木:今でも初期メンバーのほとんどが制作にかかわっていますね。当初は「3号で廃刊かなぁ」と話していて、10年続くとは誰も予想していませんでした(笑)。

MC☆あくしず編集部:ある絵師の方に、打ち合わせで『MC☆あくしず』のコンセプトを話したら、「そんな本が本当にできるわけがない!」と信じてもらなかったことがありましたよね(笑)。でも、2006年ごろに萌えミリタリー系のコンテンツが流行り始めて、『ストライクウィッチーズ』や『スカイガールズ』がヒットしたのも追い風になりました。

鈴木:当時の『ミリタリー・クラシックス』は、まじめな記事もあれば萌え系の要素もあり、さまざまなコンテンツがごった煮になっていました。なので棲み分けるために、硬派な方にとっても萌え系が好きな方にとっても『MC☆あくしず』が必要だったのだと思います。

――そうして長年制作してきたコンテンツがアプリゲーム化されるとなると、感慨深いのではないでしょうか。

MC☆あくしず編集部:そもそも当時はスマホ自体がなかったわけで、まったく考えられませんでした。自分たちが作り上げたものに声やアニメーションがつくのは、1人のファンとして見てもうれしいです。

鈴木:やはり、自分の手が入っているものなので、素直にうれしく思いますね。

――監修や全面協力というのは、主にどのような内容を指すのでしょうか?

鈴木:一番わかりやすいのは世界観設定です。『MC☆あくしず』は兵器を美少女に置き換えた歴史書のようなものなので、ひとつのストーリーがあるわけではないんです。そこで、ゲーム用の世界観を一から作りました。それと戦姫(せんき)のテキスト監修ですね。『MC☆あくしず』から抜粋された兵器の説明文を、ゲームの世界観に落とし込む作業などをしています。

MC☆あくしず編集部:編集部側では、誌面から引用されている兵器や戦姫の説明、擬人化少女のセリフまわりを監修しています。それに新規イラストの制作協力として、イラストレーターの先生方とすり合わせながら、細部のデザインや攻撃モーションを逐一チェックしています。

鈴木:軍事モノは間違えると恐いですからね。誤った表現や表記がないようにしっかりと確認しつつ、ミリタリー初心者でも理解しやすいように調整しました。

『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』
▲副官はプレイヤーを手助けしてくれるキャラクター。戦姫とは異なり、兵器が擬人化したわけではない。

『あくしず戦姫』のシナリオ量に監修側もドン引き!?

――『あくしず戦姫』の世界観設定についてお教えください。

鈴木:まず、舞台となるのは私たちの暮らす世界そのものではなく、第二次世界大戦をベースにした並行世界です。その世界が別の並行世界から侵攻されているのですが、その戦いは、兵器が少女のかたちをとった“戦姫”同士で展開されています。

 ただ、戦姫に指示を出せる能力を持った指揮官は数少なく、軍部が適合者を探した結果、別の世界で暮らす主人公(プレイヤー)が司令官に選ばれるという設定です。登場する兵器(戦姫)は第二次大戦のものがベースですが、パラレルワールドということもあり、最新鋭の兵器も混ざっています。史実にもとづいた事象もあれば、時代の垣根を越えたオリジナル展開もあります。

MC☆あくしず編集部:開発された時代に大きな差があっても、ここは並行世界ならではの醍醐味で、戦力的には調整してあります。例えば最新鋭の“F-35”と第二次大戦中の“零戦”が普通に戦ったら本来勝負は見えていますが、好きな兵器を使えないとゲームとして楽しくないですからね。

――シナリオはプレイヤー側と敵側の二大勢力がぶつかり合うという方向性なのでしょうか?

鈴木:攻めてきた敵の勢力に対し、プレイヤーと戦姫が力を合わせて対抗していくという話になっています。敵側にも戦姫がいるため、それを倒すだけでなく、仲間にすることも可能です。

MC☆あくしず編集部:シナリオのボリューム的には、リリース時で全10章ほどを用意してあり、章ごとに複数のボスが立ちはだかります。テストプレイをさせていただいたところ、思っていた以上にボリュームがありました。テキストもすごい量で、監修も全然終わりが見えなくて大変でした(笑)。

鈴木:実際、テキストの監修作業はかなり大変です(笑)。気軽に引き受けたのですが、受け取ったデータを見て「あれ、これは尋常ではない作業量になるのでは……?」と思ったくらいです。

MC☆あくしず編集部:キャラクター数が100体を超えているうえに、それぞれがシナリオに絡んでくるので、テキスト量が膨大ですね。

鈴木:リリース時の収録数は約160体と聞いています。歩兵なども含まれるので、戦姫だけだと150体くらいでしょうか。公式サイトでは20体ほど紹介されたところですが、残りの戦姫は『ポ○モン』のように、自分で探す楽しさを味わってもらえるとうれしいです(笑)。

『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』
『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』
▲100体以上の戦姫が登場。いずれも進化後はイラストが変化する。

――ゲーム中の戦闘システムについてはいかがでしょうか?

鈴木:オートバトルかと思いきや、戦闘中にやることが意外とあって退屈しません。前衛と後衛の概念があり、前衛は攻撃力が、後衛は防御力が上昇するので、状況に応じて入れ替える必要がある。

 また、敵を倒した時に“エナジージェム”という玉の形をしたアイテムが出現することがあります。これを入手すると戦姫に対してさまざまな効果が得られるので、敵を倒したあとも気が抜けませんよ。

MC☆あくしず編集部:“玉拾い”は意外とおもしろいですね。夢中になり過ぎて、前衛後衛の入れ替えやスキルを使い忘れてしまうことがあります(笑)。

――すでにかなりプレイされているのですね。思い入れの強いキャラクターは出てきましたか?

鈴木:雑誌が10年も続いているので、「あっ、あの時のキャラだ!」となることも多いです。逆に、どのキャラクターが手に入るかわからないので「自分が担当したあのキャラクターは出てくれるかな?」といったワクワク感もありますね。

キャラクター設定には軍事系の小ネタがぎっしり

――オリジナルキャラクターである副官やエレーヌについてお教えください。

●セラフィーナ・E・F・フィヌケーン(声優:種田梨沙)

『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』

MC☆あくしず編集部:セラは自身がパイロットでクールな金髪美人ですね。副官はあくまでサポートで戦場に出ることはないのですが、セラの場合、エースパイロットだという自負があるせいか先走りがちで、周囲から「おいおい、ちょっと待て。」と止められることもあります(笑)。

鈴木:クールで使命感が強いキャラクターですね。戦闘機が戦う時代から戦姫が戦う時代になったのに、旧式兵器で戦おうとする感じです(笑)。イギリス出身ということで、制服はイギリス空軍の軍服をモチーフにしてあります。

●夕凪 桜(声優:原由実)

『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』

鈴木:桜は、日本海軍で秘書官を務めてきたおっとり系のお姉さんです。『MC☆あくしず』の読者は“大きい”のが好きな方が多いので、ファンがたくさん付くキャラクターだと思います(笑)。

MC☆あくしず編集部:以前、誌上で「姉と妹どちらが好きか?」というアンケートを行ったのですが、姉が6:4で姉好きな方が多い結果が出まして。人間だけでなく、兵器に関しても戦艦などの装甲が厚いタイプが好まれるようです。

鈴木:我々はよく“大艦巨乳主義”と言っています(笑)。読者の方は素敵なお姉さま系に守ってほしい人が多いみたいですね。

●フリーデリーケ・フォン・ファルケンハイン(声優:金元寿子)

『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』

MC☆あくしず編集部:ひと言でいうとツンデレタイプです。ドイツの名門貴族の娘で、軍人でもあり、プライドが高いのが特徴です。1番覇気があると思います。

鈴木:このゲームでのドイツは実力主義なので、プレイヤーがしっかりしないと虐げられますが、戦果をあげれば“デレ”の部分を見せてくれます。実績を上げれば認めてもらえるというドイツのお国柄ですね。

MC☆あくしず編集部:それと、制服の襟元にあるピンク色のライン。これはドイツの戦車兵の色です。ドイツ兵は所属している兵科がひと目で区別できるように、襟元の色が所属部隊によって分けられているんです。

鈴木:将校用のベルトを装着している点など、見る人が見ればドイツ兵だとわかるポイントがあります。どのキャラクターにもこういった特徴的なデザインがあしらわれているので、ミリタリーに詳しくない方もぜひプレイしながら覚えていただければと思います。

●エレーヌ(声優:徳井青空)

『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』

鈴木:謎の美少女という設定なうえに、自分でも「謎の美少女」と名乗ってしまう不思議なキャラクターです(笑)。ネタバレ要素が多いので詳しいことはお伝えできませんが、物語を一気に動かしてくれるスパイスのような存在ですね。

MC☆あくしず編集部:戦闘時と通常時で体形が大きく変わるのが特徴です。主題歌を歌っているのがエレーヌ役の徳井さんだという点も、謎かけの1つになっていますね。

鈴木:あと、『あくしず戦姫』の戦闘画面ではSDキャラが表示されますが、ボスによっては等身大イラストのまま登場しまして……。巨大なエレーヌがSDキャラクターと対峙するシーンは違和感がすごく、ある意味おもしろいです(笑)。

MC☆あくしず編集部:衣装は1800年代、いわゆる三銃士の時代に作られたフランス海兵隊がモチーフになっています。当時、海軍はまだ制服がなく海兵隊だけが制服を着用していました。エレーヌのマントなどは特に三銃士のころの時代背景を意識してデザインされていますね。

『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』
▲戦闘シーンでは両陣営のSDキャラがせわしく動き回る。
『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』
▲巨大ボスとの戦闘シーン。エレーヌは一体どのようになるのか?

――キャラクターボイスはどのように決まっていったのでしょうか?

MC☆あくしず編集部:複数キャラを演じていただく方が多かったため、まずいくつかの戦姫に合った声優さんに依頼をしたうえで、残りのキャラについて編集部側からイメージに合ったキャスティングとなるように調整をしました。10キャラ近く演じている方もいらっしゃいます。

鈴木:以前に『美少女兵器 F-Xは俺の嫁!』というドラマCDを制作したことがありましたが、その時に出演していただいた下田麻美さんや小林ゆうさんには、引き続き同じキャラクターを担当していただいています。

MC☆あくしず編集部:1人の方に強いキャラや特定の兵科が集中しすぎないように、というのも意識しています。

――その他、ゲームの見どころにはどんなものがありますか?

鈴木:たくさんいる戦姫の掛け合いはもちろん見どころですが、個人的にはローディング画面が好きです(笑)

MC☆あくしず編集部:ローディング画面になると漫画が始まるんですよね。

鈴木:『MC☆あくしず』に、じじさんの漫画が毎号掲載されているのですが、これがローディング画面に登場します。内容は『MC☆あくしず』に掲載されたものと同じなので、長年の読者さんにとっては懐かしいはずですし、初めて見る方も兵器のことを楽しく学べると思います。

MC☆あくしず編集部:ゲームをプレイしてその史実に詳しくなるのもおもしろさの1つですね。ヨーロッパやアフリカ、アジアといった世界各地で戦闘するので、各地域の時代背景やその地域で活躍した戦姫にも注目です。

鈴木:他社さんの兵器擬人化ゲームだと、陸海空のどれかに特化していたり、特定の時代にセグメントされていたりすることが多いと思います。しかし、『あくしず戦姫』ではそれらがすべて凝縮されているので、他のゲームでは味わえない内容になっていますね。

MC☆あくしず編集部:副官のアニメーションもおすすめです。さまざまなモーションがあり、開発段階では胸の揺れも表現されていました。リリース時にも残っていることを願っています(笑)。また、本誌で登場したキャラクターのゲーム内オリジナル衣装なども実装予定です。

ファンを楽しませる多彩なプロモーション展開

――ニコニコ生放送や声優オーディションといったプロモーション展開にも力を入れていらっしゃるように思います。

MC☆あくしず編集部:プロモーションに関しては基本的にDonutsさんのプランニングのもと、鈴木さんにも協力していただいています。

鈴木:“ニコ生を駆ける乙女たち”は、いつも楽しく出演させていただいています。徳井さんが着用しているオリジナルの衣装がとてもかわいらしいのと、徳井さんが歌う主題歌『ぼくたちのLIBERTY』はゲーム内では聞けないので、ぜひニコ生でチェックしてください。疾走感があってすごくテンションの上がる曲なので!

『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』
▲鈴木氏と徳井青空さんがMCを務めるニコニコ生放送“ニコ生を駆ける乙女たち”が全3回で好評放送中。次回(第3回)は10月18日配信予定だ。
『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』
▲声優オーディションでは3人のキャラクターボイスが決定!

MC☆あくしず編集部:ニコニコ生放送ではゲストに応じたコーナーやプレゼント企画などがあり、視聴者プレゼントとしてサイン入りのポスターや色紙も用意しています。

鈴木:他にも、事前登録キャンペーンやTwitterと連動しての目覚まし時計プレゼントなどがあるので、余さずチェックしていただければと思います。どうやらすでに50,000人の方が登録してくださったということで、記念に“セラの描き下ろし抱き枕”のプレゼントも追加されました。ありがとうございます!

『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』
『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』
▲事前登録キャンペーンでは空母“大鳳”など激レア戦姫3キャラに加え、セラの抱き枕プレゼントも!
『あくしず戦姫~戦場を駆ける乙女たち~』
▲Twitterキャンペーンでは戦姫や副官の目覚まし時計が当たる。

――最後に読者の方に向けてメッセージをお願いいたします。

MC☆あくしず編集部:『MC☆あくしず』編集部が全力で監修しているので、本誌を読んでいる人でもミリタリーを知らない人でも楽しめる内容になっています。ぜひ、ゲームがリリースされたらプレイしていただきたいです。

鈴木:ゲームをプレイしているうちにどんどんミリタリーに詳しくなっていくと思います。そして『MC☆あくしず』を読んだら、さらにゲームのおもしろさが増すので、そちらも手に取ってみてください。

※ゲーム画面は開発中のものです。
(C)IKAROS Publications LTD. (C)Donuts Co.Ltd. All Rights Reserved.

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