連載
インディーズゲームの小部屋:Room#451「Aragami」
複数の人の話を同時に聞き分けて理解したという聖徳太子にならって,アニメを見ながらゲームをやってみたらどっちもさっぱり頭に入らなかった筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第451回は,スペインはバルセロナに拠点を置くLince Worksの「Aragami」を紹介する。本作は,影の中を自在に移動できる忍者となって,闇から闇へと敵を葬っていくというステルスアクションだ。ご飯を食べながら原稿を書きつつ睡眠もできるといいんだけど,やっぱり無理ですかね。
本作の主人公となるのは,漆黒の装束に真っ赤な頭巾をかぶった忍者,アラガミ。しかし彼は生きた人間ではなく,ヤミコという名の女性が古の儀式によって召喚した「復讐の魂」である。ヤミコは「カイホウ」という光の軍に一族を皆殺しにされ,自身はどこかの砦に捕らわれているのだという。そして,現世に蘇ったアラガミの前に幻影の姿で現れたヤミコは,彼に助けを求めるのだった……。
というわけで,プレイヤーはアラガミとなって,単身,光の軍と戦うことに。ヤミコの捕らわれている砦は6つの封印によって守られており,それを破るために6枚のお札を見つけ出さなければならない。本作は3人称視点のステルスアクションで,戦いではお互いに一撃で死亡してしまうため,いかに敵に見つからずに忍び寄って暗殺するかが重要となる。もちろん,ときには戦いを避けて先に進むことも必要だ。
アラガミは闇の中から蘇った存在だけあり,「シャドウリープ」という影から影へと瞬間移動できる能力を持っている。あまり遠い場所には移動できないものの,これを駆使して瞬時に相手の死角に回り込み,反撃の隙を与えず華麗に葬るのが基本だ。ただし,能力を使うためには「シャドーエッセンス」というエネルギーが必要で,一度使うごとにこれが減少していく。
シャドーエッセンスの残量はアラガミのマントの模様で判断でき,影の中に身を潜めることでエネルギーが回復していく。しかし,光の当たっている場所では回復せず,近くに強い光源があるとエネルギーが逆に吸い取られてしまうので要注意。忍者らしく,常に闇に身を隠すよう心掛けたい。
もう1つ注意すべきことは,敵に直接姿を見られてしまうのはもちろん,敵の死体を発見されたときにも相手の警戒度が上昇するという点。こうなると,敵が活発に動き回ってこちらを見つけ出そうとするので,発見されてしまうリスクが高くなる。そのため,こちらから仕掛けるときにもなるべく目立たない場所を選ぶなど,敵を始末するタイミングにも気を配りたいところだ。
また,アラガミはマップのどこかにある巻物を集めることで,自ら影を作り出してそれを操作したり,壁の向こうにいる敵を探知したり,クナイを投げて遠くの敵を倒したりといった,さまざまなテクニックを習得できる。とは言え,巻物を探してウロウロしているところを敵に見つかってしまうと目も当てられなくなるので,くれぐれも慎重に行動しよう。まあ,筆者のことだけど。
本作は基本的に,何度も失敗しながらマップの構造と敵の配置を確認していくタイプのゲームで,敵に見つかることは死を意味する。上述したようなテクニックを駆使して敵を全滅させるもよし,誰にも見つからずにステージクリアだけを目指すもよしと,ステルスゲームの醍醐味を満喫でき,スタイリッシュなグラフィックスとアクションも見どころだ。嬉しいことに,本作は日本語ローカライズされているので,興味を持った人はぜひ,闇の忍者となって光の軍を思う存分やっつけてほしい。そんな本作は,Steamにて1980円で発売中だ。
■「Aragami」公式サイト
http://www.aragami-game.com/- この記事のURL:
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