壮大な目標を打ち上げた。ゴルフの日本女子オープンで国内メジャー初のアマチュア優勝を飾った畑岡奈紗(17=茨城・ルネサンス高3年)が10日、都内で会見を行い、プロ転向を表明した。03年宮里藍の18歳110日を上回る17歳271日の日本女子ツアー史上最年少プロは、「東京五輪金メダル」「2年以内の米ツアー優勝」「5年以内のメジャー優勝」を宣言。来季からの米ツアー参戦を目指して明日12日に渡米する。

 38社95人の報道陣が集まった六本木ヒルズの会見場で、ガチガチに緊張していた畑岡が力強く言い切った。「目標は東京五輪で金メダルを取ることと、世界でメジャータイトルを取ることです。2年以内に米ツアーで優勝して、それから先、5年以内にはメジャーで勝てるようになりたいです」と瞳を輝かせた。

 米本土開催の米ツアー日本人最年少優勝は12年セーフウェー・クラシックを制した宮里美香の22歳314日。樋口久子が77年全米女子プロで日本人唯一のメジャーVを飾った時は31歳だった。まだ18歳になっていない少女は、衝撃的プランを具体的に描いていた。

 「ずっとプロになるのが夢でした」。日本女子オープン優勝後に開いた1度きりの家族会議で確認するまでもなく、覚悟は決まっていた。サプライズでビデオメッセージも届いた。松山英樹に「お互い刺激し合って世界のトップを目指して頑張りましょう」とエールを送られ、4月に出場した米ツアーの大会で一緒に写真を撮った宮里藍からは「(米)ツアーで会えるのを楽しみにしています」。海の向こうで戦う“先輩”の言葉に誓いを新たにした。

 12日に渡米し、米ツアー2次予選会(20~23日、米フロリダ州)に臨む。現地ではまずフロリダ州オーランドに住む日本人の家にホームステイ。敷地内にゴルフ場があって万全の調整が行えるだけでなく、松山や石川遼、宮里美らの拠点が30分圏内。3人とも試合のため直接会うことはかなわないが、将来的に米ツアーに軸足を置いて戦っていくことを考えれば“予習”として最高の環境といえる。

 色紙には「初志貫徹」と抱負をしたためた。多くの日本人が苦しんだ芝の違いなどについても「私の夢は世界で勝つことなので、慣れていかないといけないです」。64年東京五輪の開会式からちょうど52年後の体育の日、プロゴルファー畑岡奈紗が誕生した。【亀山泰宏】

 ◆日本女子ツアーのプロ選手 (1)プロテストに合格した日本女子プロゴルフ協会(LPGA)会員(2)トーナメント・プレーヤーズ・ディビジョン(TPD)単年登録の選手、(1)(2)以外では米ツアーの予選会を受け米国でプロになった宮里美らの例がある。畑岡のようにツアーで優勝したアマチュアはTPD登録申請から協会承認を経てプロとして活動可能になり1年間の試合出場資格を与えられる。11年度まではツアー優勝者はLPGA会員になることができ、宮里藍は東北高3年時に優勝した翌年に会員になった。現在、同会員になるには18歳以上が受験可能な最終プロテストに合格する必要がある。