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2016年9月30日(金)

怪作ゲーム誕生秘話。『デモンズゲート』原作の木村央志氏&今井秋芳監督にインタビュー

文:長雨

 Donutsより好評配信中のiOS/Android用アプリ『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』の特集企画の第5回は、開発スタッフへのインタビューをお届け。原作の木村央志氏と今井秋芳監督に、作品に込めた思いや製作秘話などをうかがいました。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

●開発スタッフ プロフィール

木村央志氏:世界観、キャラクター設定、シナリオ執筆を担当。またDonuts側プロデューサーとして開発全般を受け持つ。代表作はPS『クーロンズゲート』など。

今井秋芳氏:ジュブナイル伝奇作品を得意とするゲームディレクター。代表作は 『東京魔人學園伝奇』シリーズ、PS2『九龍妖魔學園紀』、PS Vita『魔都紅色幽撃隊』など。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』
▲今井監督の代理・魔神バール(左)と木村央志プロデューサー(右)。

大東京市の地図を手に入れたところから企画がスタート

――本作の企画は、いつごろ、どのような形でスタートしたのでしょうか?

木村:企画を考え始めたのは、2014年の5月ごろです。もともと、青年将校が悪魔召喚するという大元のイメージはあったので、当時の大東京市の地図を手に入れて、シナリオや人物相関を地図上に配置することから始めました。

今井:私のところに木村さんから「こういう企画を考えているのだけど」というお話があったのが、2014年の秋ごろだったと思います。濃い伝奇物を作ってきたクリエイターは業界でも少ないですし、木村さん自身、クリエイター同士がぶつかりあって作品を昇華させていくやり方を求めていたので、私の方で作品にとって何が最善かを考えながらクリエイターを集めて、開発を担当したナウプロダクションとともに制作陣営を整えた感じです。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

――昭和初期の帝都を舞台に選んだ理由をお教えください。

木村:以前A社で“世界観コンサル”という一風変わった仕事をしていて、その時のテーマが“青年将校×悪魔召喚”というものでした。A社からリリースされた作品は大正22年という架空設定だったため、昭和初期という時代が自分の中でそのまま冷凍保存されたような格好になりました。それもあって昭和初期の帝都というのは、舞台設定の前提としてあったわけです。

――昭和をベースとしながらも、魔神として日本古来の妖怪や西洋の悪魔がいるなど和洋折衷な世界観になっていますよね。

木村:和と洋の感覚ということでは、当時の日本って物凄く世界観が広いんです。当時の時刻表を見ていると、ワルシャワ経由ベルリンまでの列車の行程が載っています。現在の島国的な日本とは、視界が違います。その辺りを設定に取り込んでいくことで、和とか洋といった仕切りがなくなっていきました。そういう広がり感も楽しんで欲しいです。

今井:基本的に本作に登場しているのは悪魔ではなく、生体兵器です。つまり、人の手によって無機物“実在した兵器”と有機物“セフィラや生体細胞”が融合して生み出された新たな生命が魔神。それに人が神や悪魔、妖怪や伝説の生物の名前を付けて呼んでいるに過ぎないんです。正に狂気の科学という訳ですね。

 私が監督したPS2『九龍妖魔學園紀』に登場する“化人”というクリーチャーも、人の手によって生み出された生物に記紀神話や神道の登場人物や単語から名前を付けていたので、それに近いイメージで考えています。

――メニュー画面や背景など、本作は細部までとても凝った作りになっています。デザインへのこだわりなど、教えてください。

木村:今のホーム画面のイメージは企画書の時点ですでに固まっていました。企画書では壁面に大東京市の地図が貼ってあり、その上に写真だの証拠物件だのが画鋲で止めてあるというデザインです。当時はプラスチックがなく、ビニール袋もありません。拾った指輪とかを蝋紙に包んで画鋲で止めるとか、いろいろ考えていて、結果机の上になりました。

――言葉づかいも、かなり独特です。

木村:漢字も画像で現すところは、旧字体を用いています。“連隊”を“聯隊”と現すなど。フォントも築地活版の植字を再現したフォントを使うなど気を使っていますね。「次のシナリオ配信をお待ちください」のアナウンスも「帝都ノ怪異未ダ完全ナル廓清ヲ見ズ~」など、当時っぽい表記にしています。国会図書館のデジタルアーカイブをひたすら参照していると、そういった表現に目がなじんできて、妙な感じです。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

描きたかったのは“芯のある女性”と“美しく気高き悪”

――ストーリーで、特にこだわった部分はどこでしょうか?

今井:これはもう木村さんに語っていただいた方がいいですね(笑)。私は本作においては“監督”という仕事に専念していたので、ストーリーは木村さんの色が濃く出ていると思います。ただ、演出的な面やどうストーリーをゲーム的に見せるかについてはかかわっているので、帝都の雰囲気や息吹を感じてもらえたらうれしいです。

木村:シナリオの基本ラインは、芯のある女性を描くということです。ちゃんと目的を持って生きている女性が宿命性を帯びると“ファム・ファタル(運命の女)”となるわけで、ドラマツルギーを現す上でとても重要になります。もう1つは、美しく気高い悪ですね。際立つ悪を描ききれないと、どんよりとした話になってしまいます。

――昭和初期という時代背景も、物語を描く上で意識されているのでしょうか?

木村:“当時感”にも留意しました。昭和10年、今から81年前ですから、社会思潮的にも実存主義で大時代的です。宗教的な呪縛を突き破って、人間こそ偉いみたいな、そういうある種の高揚感の中で、世の中をどうにかしていこうみたいな動きもあって、そういった有象無象がいろいろコトを起こす。当時盛んだったアナーキズムや、心中ブームなども取り上げています。

 その中から怪人が出てきたりするわけです。陋巷と書いて“ろうこう”と読みますが、狭苦しくごみごみした都会の路地といった意味です。そんなところに身を寄せあって暮らす東京市民を描きたいなと。

――死刑囚に魔神が憑りついたシーンが印象的でした。魔神が憑りつく人間は、どのように決められたのでしょうか?

木村:本作では死後の世界はないんです。死刑囚に憑いているのは、処刑される直前の生きた人間の思念です。思念は一度表出すると、ずっと漂う。帝都満洲ではそれがアストラル体として実体化していますが、現世では何かに憑依している。主にヒトガタの、例えばマネキンなどにも宿っています。死刑囚の思念は、未練がましく自分の亡骸に憑依していたわけです。

 そういった思念、あるいはアストラルは、魔神を降ろし、主人公・喪神風魔と戦闘になるのです。思念やアストラルの設定は、豊島与志雄という作家の『都会の幽気』からもネタを加えています。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

――ストーリー中でのバールのキャラクターが強烈でした。今後、他の魔神と交流する機会などあるのでしょうか?

木村:魔神が実体を現すというのは、例外中の例外なんです。バールはナビキャラとして、自分の周囲に濃厚セヒラがある場合にのみ登場します。ちなみに、セヒラはドイツ人が同定したもので、本来はセフィラと言います。

 当時、日本には“フィ”という発音がなかったので、セヒラになっています。フィレステーキは今でもヒレステーキと言いますよね、大阪ではヘレステーキですが。当時の雑誌にはグラヒックとかの表記があります。

今井:本作に登場させる魔神を考える上で、オカルトに詳しい鈴木一也さんにリストを作成してもらいました。神話や伝説などいろいろなジャンルや系譜から万遍なくピックアップしてもらって出来上がった魔神リストの中で、主人公が最初に手にする魔神をどれにしようか考えていました。あまりに雑魚過ぎても何だし、見た目やキャラのインパクトも必要だし、何よりマスコット的な立ち位置でなければならないなと。

 バールは旧約聖書にあるイスラエルの王ソロモンが使役する72柱の悪魔の1人で、しかも強大な力を持っています。主人公の傍らにいるなら、それぐらい強いイメージの魔神がいいと思ったのですが、最初から強そうに見えるとストーリー的に盛り上がらないので、最初はかわいいい猫の姿で登場し、後に禍々しい姿に変化する方がおもしろいだろうと考えて、今の姿になりました。

 イメージしたのはマンガ『夏目友人帳』のニャンコ先生ですね(笑)。ちなみにバールが猫の姿をしているのは、バールが人の前に姿を現す時、蛙や猫などさまざまな姿を取るといわれている事に由来しています。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

――審神者である主人公のライバル的存在として、召喚師を配置した意図をお教えください。

木村:シナリオ序盤のつかみとして、ルサンチマンを置いています。これは恨みつらみ、どうせ俺なんかみたいな湿気った感情です。鬼龍豪人は拠り所としていた帰神法の流派を閉じられてしまい、ルサンチマンを抱きます。それでドイツに渡ってトゥーレの館という秘密結社で召喚師に鞍替えするわけで、このあたり、当て付けがましさに敵愾心が見え隠れするわけです。

 ルサンチマンは、当然、弱さにつながります。その弱さを指摘するような位置に主人公はいるわけで、そこに優越感や傲慢さが現れると罪の意識を形成します。罪の意識を描くことで、シナリオに転換点が与えられます。

――ドイツ系の“召喚師”が存在するということは、怪人による事件は世界中で起きているということでしょうか? また“審神者”と“召喚士”の間には明確な違いがあるのでしょうか?

木村:ドイツにもセフィラは観測されるが、日本ほど強くはなく、また制御できていないという設定はあります。セフィラのあるところに魔神ありなわけですが、そもそも魔神とは誰かが拵えた存在です。悪魔に兵器を融合させているわけで、誰かの意図が及んでいます。それがないところでは魔神は降ろせないという設定ですね。

 特に設定はないのですが、日独以外には魔神は現れないとするのが自然です。審神者と召喚師の対比ということでは、自然観や死生観の違いも描きたかった。日本では自然の中に自らをなじませますが、ドイツでは自然を外から支配しようとする。それが召喚にも違いを生んでいるとする設定です。

今井:怪人は帝都満洲の陰氣が地上に噴き出した影響で常人が人ならざる“力”を得た存在です。ただ、陰氣は地上の何処にでも噴き出る訳ではなく、過去に何か事件があった場所や人の負のエネルギーの強い場所に噴き出てきます。その証拠にストーリー中でも、常人を唆して負のエネルギーを増幅させて怪人化させるという描写があります。

 私の監督作品『東京魔人學園剣風帖』は、大地を走る龍脈とその交差点である龍穴から噴き出る氣が人に影響を及ぼし、人ならざる“力”を与えるという設定でしたが、本作は木村さんのいうように、そこに人の意思が介在しているのが特徴だと考えています。

 “門”の存在もそうですが、そういった超常的な研究が進んでいるのは日本とドイツ(ナチス)なので、特にストーリーに絡んで来ている感じです。ただ、伝奇世界的には、ソビエト連邦なども帝政ロシア時代の怪僧ラスプーチンなどもいます。暗殺で死んでないという説もあるし、今後他の国にも広がる可能性はあるのではと思っています。

――これまでのストーリーでは第一連隊と第三連隊にスポットがあたっています。そこで第二連隊なども気になってくるのですが、組織全体の構成についてお教えいただけないでしょうか。

木村:歩兵第一連隊、歩兵第三連隊がライバル関係にあるというのは、概ね史実に基づいています。部隊の位置的にも向き合っていますよね現在、歩一はミッドタウン、歩三は国立新美術館になっています。ゲームでは、歩一は主人公側で、思想的には王道派を名乗ります。

 一方、ライバルの歩三は玄理派です。“玄”とは奥まっていること、その理屈ですから、なにやら高尚っぽいけど、その実よくわからない、いわば根性主義、今で言う反知性的なヤンキー気質です。それら反目しあう連隊を統括するのが参謀本部です。この参謀本部が諸々の計画立案を行うわけです。

 他に、探信儀など技術面を担うのが陸軍飯倉技術研究所、怪しい研究を行うのが国立防疫研究所です。国立とありますが謎の組織です。あとはスパイの組織や満鉄調査部の下部組織などがあります。

アプリらしい手軽さと奥深さを両立したバトルシステム

――バトルは、どちらかというとボードゲームに近いような印象を受けました。どのようにシステムを作っていったのでしょうか?

今井:本作はスマホアプリのゲームなので、気軽に遊べる単純さがありながら、奥深いシステムを考えていました。元々、私もボードゲームが好きだったので、盤面と駒を使って、戦略を練るシステムを考えるのは楽しかったです。

 アバロンヒルのウォーシミュレーションゲームなども参考にしています。「どこに?」と言われれば明確にどこというのはないですが(笑)。兵器を使ったボードゲームの雰囲気を出したいと思っていたので、過去に自分がプレイしたウォーシミュレーションゲームを思い出して、アイデアを考えていました。

木村:企画書ではマスの上に3D駒を配置して、チェスみたいに遊べるというものでした。ただこれだと、駒はマスのサイズに縛りを受け、また駒が重なって動かしづらいなど問題があり、企画を通した時点では2Dのエンカウントバトルになっていました。2Dの方が魔神を描きやすい、また売りやすいというメリットはあると思います。

 ただ2016年のリリースで2Dエンカウントはもう古いのでは、という危惧もあり、開発のナウプロさんに相談したら、何の迷いもなく3Dでの提案が出てきたのです。彼らが得意のなのが3Dだったという事情もあると思います。

今井:マスの数も最初は現在の8×5ではなく、10×5や8×4などチーム内でいろいろと試した結果、今の数になった感じです。あと気を付けたのは、奇をてらわずに、召喚→移動→攻撃という流れを双方で交代に行うスタンダードなシミュレーションゲームの流れにした方がアプリユーザーも入り込みやすいだろうと考えました。ボードゲームのように「わかりやすい」「面倒くさくない」という事は重視しましたね。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

――システムで手ごたえを感じた部分は? また逆に苦労された部分はありますか?

今井:攻撃力や射程や射界、成功率などパラメーターが多い割にサクサクバトルが進む所ですね。最初はよくわからなくても、駒を動かしてバトルして勝つという流れが出来た時にうまくいったなと思いました。苦労した部分は、すべてですね(笑)。

木村:シミュレーションRPGで、駒の攻撃範囲がわかりづらいという不満があって、企画書の時点で攻撃範囲を確認しながら駒を動かす仕様を決定していました。バトルが実装されて、実際に敵の駒に攻撃範囲をかぶせて攻撃できて、これは遊べるなという手応えを得ました。

――今後、バトルでやってみたいことはありますか?

木村:まだシナリオバトルは道半ばです。章が進むと、盤面をフルに使って移動する、バフ、デバフを駆使する、兵器を巧みに利用するなど、バトルのバリエーションを広げていきたいと考えています。

――マルチプレイについては、最初から取り入れようと考えていたのでしょうか?

今井:これは最初から入れたいと木村さんと話していたので、マルチプレイの検証を進めていました。コンシューマゲームと違って、電波が悪くなったり、回線が切断されたりなどのケースが多く考えられるので、そこをどう処理するかが難しかったです。

木村:実際に盤面でもリアルタイムでプレイでき、かなりアツいです。友軍と同じマスに展開できるので、重なりなどを気にせず遊べます。あらかじめチャット用に文言を用意しておけば、場面ごとにふさわしいメッセージが送れます。共同作戦はリアルに集まって4人でプレイすると妙に盛り上がります。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

主人公の姉や梨央の意外な趣味など、キャラクターには意外な設定も!

――主人公の設定やコンセプトを教えてください。

木村:プレイヤーが扱うのは喪神風魔、陸軍特務機関の中尉です。ただあくまでプレイヤーの代わりなので、風魔はしゃべりません。最初アドベンチャーモードで2択の仕組みを載せていたのですが、違和感あるとして削除しました。風魔には妹の梨央ちゃんがいて、さらに肺病で亡くした姉がいます。つまり女に挟まれて育った男性として設定しています。唯一、そこが色味の付く部分ですね。

――キャラクターデザインは、どのような経緯できまったのでしょうか?

今井:キャラクターデザインをお願いした山本章史さんとは、本作で初めて一緒に仕事をしました。木村さんから設定をもらって誰に頼もうかと考えていた時、たまたま山本さんのクリーチャーのイラストを見て、「お! いいな」と。

 過去の作品にはクリーチャーが多く、人間のイラストは少なかったのですが、その独特のタッチで人間も個性豊かに魅力的に描けるのではと思ってお願いしました。上がってきたキャラを見て他作品にない雰囲気があり、頼んで正解だったと思っています。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

――またお気に入りのキャラと、そのキャラの魅力やこだわりもお願いいたします。

木村:個人的には、梨央ちゃんは好きですね。かなり力を入れて台詞を書いています。台詞数も多いですし、通信士として軍属ながら頑張っている。次第にわかりますが、彼女は実は鉄道女子なんです。昭和9年にダイヤ改正された際の『省線鉄道時間表』を肌身離さず持っている。燕号などの東海道本線を走る優等列車なら、大体ダイヤを暗記しています。また鮮鉄、満鉄にも通じています。外国航路の船にも詳しく、機械モノは全般大丈夫な女子です。

今井:好きなキャラは。銀河ゼットーとフリーダ葉ですね。見るからに怪しいキャラが好きなので(笑)。フリーダ葉は木村さんから占い師だという設定をもらっていたんで、「じゃ、霊雀館でも占いは見せないとな」と思ってデザイナーと打ち合わせをしました。デザイナーから「雀で占いをさせるのはどうでしょう?」と言われた時、「どんな占いだよ!」と思ったのを覚えています(笑)。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』
『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

――古今東西さまざまな魔神が登場しますが、魔神はどのように決めていったのでしょうか?

木村:悪魔を一気呵成に設定したのは、シナリオの鈴木一也司祭です。ここはもう、お任せなんです。ただ、設定した悪魔なりをベースに兵器融合させて晴れて魔神となるわけで、これは開発会社のプランナーの方が頑張ったところです。

今井:魔神は鈴木一也さんにリスト化してもらった物を、どの兵器と融合させるか指示を出して、デザイナーに描いてもらっています。実際の兵器と融合させてデザインしなければならないので、「これじゃカッコ悪い」とか「この部分のバランスが悪い」などデザイナーと何度もやり取りをしました。

 進化で姿が変わりますが、これは兵器として生み出された生物が進化によって、1つの完全なる生物に近づくというイメージでいます。つまりセンコという名が与えられた生体兵器が、進化によってセンコという生物に近づくという事です。

――お気に入りの魔神はいますか?

木村:ネコマタですね。見てくれというよりも、縦にスーッと伸びるロングレンジの射程、これはこのゲームの遊び方を示唆していて、こういうのが最初に出てくると、遊び方のバリエーションに期待が膨らみます。

今井:個人的に好きなのはピカ…じゃなく、テッソです。尻尾を稲妻をイメージした形にしたいといったら、デザイナーに止められました(笑)。

『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』
『デモンズゲート 帝都審神大戦 ~東京黙示録編~』

――本作のキャラクターボイスは文章をそのまま読むのではなく、掛け声や相づち(?)のような手法を取られています。これにはどういった意図があるのでしょうか?

今井:これは、私の過去の監督作品がそうであるようにフルボイスでなくともキャラクター性は出せるという理論に基づいています。特に本作のように読み物としてじっくりとストーリーを楽しめる作品の場合、フルボイスだと想像力や脳内補完力などさまざまな要素が妨げられると考えています。

 ここに1冊の小説があって、それがフルボイスで読まれるのと、自分のペースで自分の脳内で考えながら読むのとどちらが集中出来るかという事ですね。

木村:モブキャラにしても、昨今の基準からするとローポリゴンだしボーンも入れていない。同じキャラの使い回しなどもあります。でも脳内変換によって、特に違和感なく進められます。全体のトーン合わせとしては、フルボイスじゃないほうがバランスが取れるわけです。

コラボ企画など本作の世界はまだまだ広がっていく

――苦戦している、またはこれから始めるみなさんに、攻略のアドバイスをお願いします。

木村:魔神をしっかり強化する、あるいは覚醒によって限界突破させることで、結構、活躍してくれます。あと、敵との属性の相性も重要ですね。

今井:敵の射程や射界外に位置取り、そこから攻撃して、いかに反撃を食らわないかという事も重要です。つまり、いろいろな局面において、敵の攻撃は当たらないが、自分の攻撃は当たるという魔神をどう編成し、戦闘に臨むかという事です。同じような魔神ばかりを編成すると対応出来ない戦闘局面があるので、注意して編成を組んでください。

――今後追加したい要素や、開催予定のイベントがありましたら教えてください。

木村:魔神を進化させる要素、仕組みとしては今も入っていますが、ここを強化したいですね。進化させることでパラメータはもとより魔神の姿形が変わる、そのカスタマイズの奥行を出していきたいと考えています。

 開催予定のイベントとしては11月に『クーロンズ・ゲート』とコラボしたイベントを企画しています。双方の話が接点を持ち、クーロンのキャラクターも登場する予定です。

今井:せっかくアプリゲーなので、他の作品ともコラボとかやりたいですね。ゲームに限らず、アニメや小説、コミックなど。興味がある方は、Donutsさんにご連絡いただければと思います(笑)。

――最後に読者の皆さんに、メッセージをお願いします。

木村:本作はメインシナリオにエンディングがあるゲームです。エンディングがあるからこそ、話の緩急や山場を設けることが出来ます。途中、イベントにはメインシナリオからスピンアウトしたエピソードを載せていこうと考えています。

 時間が前後することもありますが、ゲームの世界を立体的につかめるように仕込んでいきます。そして肝心のメインシナリオも、これから中身をより濃くしていきますので、お楽しみに!

今井:ゲーム業界ではまだ数少ないジャンルですが、本作は本物の伝奇物を目指して作られた作品です。そのために木村央志さんや鈴木一也さんや増子司さんを始め、腕のあるクリエイターたちが集結し、このメンバーでなければ、『デモンズゲート』という作品は完成していなかったと思っています。どうぞ、夢の競演によって創造された本作の世界を楽しんでください。

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