NECは2016年9月27日、中堅・中小規模の海外グループ会社に対して、クラウド型のERPパッケージ「SAP Business ByDesign」を用いた基幹システムを順次導入すると発表した。第一号として、NECニュージーランド社で2016年9月からシステム稼働を開始した。

 NECは2010年から、国内外の主要グループ会社にERPパッケージ「SAP ERP」を導入してきた。直近ではERPのデータベースを「SAP HANA」に刷新した(関連記事:NEC、基幹業務システムのデータベースをSAP HANAに刷新)。今回、ERPをまだ導入していない中堅・中小規模の海外グループ会社に対し、SAP ERPと親和性の高いクラウドERPであるSAP Business ByDesignの導入を決めた。

 主要拠点に導入済みのコアERP(1層目)と、柔軟性が高く短期間かつ低コストで導入可能なERP(2層目)によって全体最適を図る「2層ERP」の考え方に基付く。2層目のERPに向いたSAP Business ByDesignによって、各国の法制度や商習慣、M&A、市場変動など様々なビジネス環境の変化に対して迅速かつ柔軟に対応できるという。

 また、コアERPであるSAP ERPとの親和性の高さを生かして、経営データの連携を促進するという。これにより、経営情報の見える化や決算の早期化などのガバナンス強化に加え、地域内管理や各社でのリアルタイムな経営分析などを実現するとしている。

 NECは、今回の自社事例を基に、SAP Business ByDesignとSAP ERPによる2層ERPのノウハウをモデル化して提供する。すでに、1層目に当たる最新製品「SAP S/4HANA」向けのERPテンプレートや、2層目に当たるSAP Business ByDesignの導入サービスを提供中(関連記事:NEC、SAP S/4HANA用のグローバルERPテンプレートを出荷)。2層ERPの構築サービスについて、今後3年間で300拠点への販売を目指す。