2016年8月29日(米国時間)、クラウドインフラやデジタルモビリティに関するイベント「VMworld 2016」が米国ラスベガスで開幕した。基調講演に立った米ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEOはマルチクラウド戦略「VMware Cross-Cloud Architecture」を発表。「2016年時点でパブリッククラウドの利用率は15%に過ぎない。今後利用が伸びていく中、ヴイエムウェア製品で構築したシステムと、アマゾン、マイクロソフト、グーグルなどのクラウドサービスをつながなければ、ユーザーのニーズを満たしていけない」と“全方位クラウド”に舵を切る理由を説明した。

写真1●VMware Cross-Cloud Architectureを発表する、米ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEO
写真1●VMware Cross-Cloud Architectureを発表する、米ヴイエムウェアのパット・ゲルシンガーCEO
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 Cross-Cloud Architectureを支えるのは、「VMware Cloud Foundation」と「VMware Cross-Cloud Services」の二つ。Cloud Foundationは同社が提唱する「ソフトウエア・デファインド・データセンター(SDDC)」に基づいたシステムを作るためのソウトウエア群。サーバー仮想化の「VMware vSphere」、ストレージ仮想化の「VMware Virtual SAN」、ネットワーク仮想化の「VMware NSX」、管理ツール「VMware SDDC Manager」から成る。

 ソフトウエア構成を見ると、Cloud Foundationは従来のハイパーコンバージド・インフラ構築向けソフト「VMware EVO SDDC」の後継に当たる。ただし、これまでのサーバー向けに加え、クラウドサービス向けのライセンスを用意。クラウド版の第一弾として、IBMのIaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)である「SoftLayer」上でCloud Foundationが利用可能になると発表された(関連記事)。

 Cloud Foundationが同社製品で固めたハイブリッドクラウドを推進するのに対して、Cross-Cloud Servicesは「AWS(アマゾン ウェブ サービス)」や「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」などのパブリッククラウドを連携するサービス。SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を介して、これらヴイエムウェア以外のクラウドサービスと相互運用を可能にする計画である。