米Facebookは話題の記事を紹介する「Trending」機能において、虚偽の記事を上位に表示し、謝罪したと、複数の米メディア(TechCrunchWashington PostForbesなど)が報じた。同機能を巡っては、人為的な影響を極力減らすために、自動化を進める方針を先週明らかにしたばかりだった。

 FacebookのTrendingでは現地時間2016年8月29日、保守派のニュース番組「Fox News」のキャスターMegyn Kelly氏が次期大統領選の民主党候補であるHillary Clinton氏を支持していることに同番組が腹を立てて同氏を解雇したとの記事が注目トピックに選ばれ、Kelly氏の名前が上位に表示された。

 記事は事実の反するもので、数時間後にTrendingから削除されたが、削除前の画面を政治系バイラルメディア「Independent Journal Review」の記者がTwitterに投稿している。

 Facebookは米CBS Newsの取材に対し、「これはミスであり、当社はこの件について謝罪する」と述べた。

 Trendingに関しては、保守系の記事を排除するよう操作していたと米IT系メディアサイト「Gizmodo」が5月9日に報じたことから非難が殺到。Facebookは「厳格なガイドラインに沿っている」と反論し、社内調査の結果、組織的な政治的偏向の証拠はなかったと5月23日に報告した(関連記事:Facebook、Trending問題で「政治的偏向の証拠なし」と報告)。

 さらにTrendingの中立性をより高めるためとして、8月26日にTrendingの表示方法を変更すると発表。これまでコンピュータプログラムとTrendingチームの編集者によって記事の選択および表示を判断していたが、今後はほとんどアルゴリズムによって決定するとした。

 Facebookの釈明によると、Trendingのリストに選ばれる記事は、関連コメントの投稿の多さとその増加速度を基準としており、Kelly氏解雇の記事は先週末にこれら基準を満たしたためTrendingに表示された。しかしチームが見直した結果、虚偽情報だと分かりTrendingから削除した。問題の記事の元ネタは右派サイト「Ending the Fed」に掲載されたものだった。

 Facebookグローバルオペレーション部門担当バイスプレジデントのJustin Osofsky氏は、「虚偽や風刺記事を特定するスピードと精度の向上に取り組む」と述べた。