日産自動車は2016年8月24日、新型日産セレナの発売開始にともない、横浜のグローバル本社で報道陣を集めた記者発表会と新車の公道デビュー式、一般ユーザーの試乗体験イベントを開催した。新型セレナについては、すでに国産車初という高速道路単一車線での自動操舵、前車追従機能つきクルーズコントロールを実現した車として事前報道がなされている。この日の発表会では、同社の専務執行役員 星野朝子氏が、新型セレナの市場戦略やパッケージング、技術について包括的に紹介した。

新型セレナ
新型セレナ
(撮影:中尾真二、以下同様)
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日産自動車 専務執行役員 星野 朝子氏
日産自動車 専務執行役員 星野 朝子氏
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 セレナに搭載された自動運転支援技術は「プロパイロット」という名称だ。完全自動運転ではなく、ドライバーがハンドルに手を添えている状態や高速道路のように両側に車線が認識できるなど一定の条件で、アクセル、ブレーキ、ハンドルを自動制御する機能を備えている。以前からのオートクルーズ、レーンキープ、衝突回避ブレーキなどの技術をプロパイロットとして統合的に連携させることで、アクセルやブレーキなどの制御を可能としている。

 また、ステアリング操作のセンシングの度合いを強め、平均的な高速道路ならば、「車だけで曲がっていける設計」(日産のエンジニア)となっているという。ただし、手を離すと制御は解除される。

 輸入車や国産高級車には、ほぼ同様なクルーズコンピュータや渋滞追従機能を搭載した車は存在していた。日産のエンジニアによれば、「テストコースにおいて、類似機能を搭載した車で、ドライバーが介入操作をしないと曲がりきれないコーナーでも、プロパイロットは手を添えていれば曲がれる」という。

 もう一つの特徴は、同社がセレナという普及価格帯のミニバンから最初に投入したという点だ。星野氏によれば、「予約は順調で、全体の70%がプロパイロット搭載車を選んでいる。計画では40%程度と見込んでいたので、予想外のニーズの高さを実感している」と市場での評価を喜んでいた。