写真●三越伊勢丹ホールディングス、代表取締役社長執行役員の大西洋氏
写真●三越伊勢丹ホールディングス、代表取締役社長執行役員の大西洋氏
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 「観光客は、日本でしか経験できないことを欲している」。三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長執行役員の大西洋氏(写真)は2016年7月21日、東京ビッグサイトで開催されている「インバウンド・ジャパン 2016」で講演し、外国人観光客の消費額を伸ばすポイントを解説した。

 訪日外国人に日本で消費してもらうためのポイントは大きく三つあると大西氏は言う。モノ消費からコト消費に移行していることを踏まえること、絶対的価値のある商品サービスを重視すること、グローバル人材を育成することだ。「国内市場は減少し、消費は首都圏に集中し、人口構成はシニアへとシフトしている。訪日外国人の消費を伸ばすことが大切だ」(大西氏)。

 訪日外国人の数は年々増え続けており、2015年には1974万人になった。直近では、2016年の1~5月の累計が972万8000人で、前年と比べて129%となった。日本政府は2020年に4000万人、訪日外国人による旅行消費額は8兆円、という挑戦的な目標を掲げている。「8兆円まで行くと、日本人の消費の半分を占める」(大西氏)。

観光客の客単価向上が今後の課題

 観光客数は年々増えているが、直近では一人当たりの消費額が減っていると大西氏は指摘する。2016年の1~4月の状況を2015年と比べると、観光客数は約10%増えたが、個人の並行輸入業者による購買の減少や、モノ消費からコト消費への移行などの要因によって、一人当たりの単価は減った。特に落ちているのが中国で、前年の71%程度にまで落ちた。