米Microsoftは「Windows 10」への無償アップグレードに関するプロセスを改善する意向を示したと、複数の米メディア(ComputerworldMashable)が現地時間2016年6月28日に報じた。無償アップグレードを提供する「Get Windows 10(GWX)」アプリケーションの通知ダイアログを変更し、ダイアログウインドウの「×」をクリックしてもアップグレードに合意したことにならないようにする。

 Microsoftは3月より、Windows 10への無償アップグレードを「推奨される更新」とし、スケジュールされたアップグレードの提供を開始した。GWXによるアップグレード通知ダイアログでは、自動アップグレードを行う日時が表示され、「Upgrade now(今すぐアップグレード)」と「OK」ボタンはあるが、「Cancel」ボタンはない。

 この通知ダイアログでは、通常は単にウインドウを閉じるためのボタンと考えられているウインドウ右上の赤い×ボックスをクリックすると、アップグレードのスケジュールを承諾したことになり、提示された日時に自動アップグレードが実行される。アップグレードしないためには、ダイアログの中央にある「Click “here”to …(ここをクリック…)」のリンクをクリックしなければならない。

 なお、Windows 10アップグレードに関するサポートページでは、×のクリックはOKボタンをクリックするのと同じ意味になる旨やキャンセル方法について記述されているが、「アップグレードが強制的過ぎる」とする不満や、「意図せずアップグレードされた」などの苦情が相次いでいる。

 Microsoftはこうした意見を受け、アップグレードプロセスの改善を決めたとしている。新しい通知ダイアログでは、「Upgrade now」「Choose time(日時を設定)」「Decline free offer(無償アップグレードを拒否)」の3つの選択肢を並べる。ウインドウ右上の×ボックスをクリックしてもウインドウが閉じるだけでアップグレードを承諾したことにならず、数日後にダイアログが再表示される。

 Windows 7およびWindows 8.1からWindows 10への無償アップグレードは7月29日まで。Microsoftは、2018年末にはWindows 10が動作するデバイスを10億台にすることを目指している。

 Microsoftがアップグレードプロセス変更を発表する前日、米カリフォルニア州の女性ユーザーが、承諾していないのにWindows 10に自動アップグレードされたとしてMicrosoftを相手取って起こした裁判で、1万ドルの賠償金を勝ち取ったとのニュースが報じられた。