中日和田一浩外野手(38)が「3冠打法」の完成に向けて再び落合道場の門をたたいた。25日、ナゴヤドームでの全体練習。まだ他の選手がウオーミングアップをしているうちから和田は快音を響かせていた。

 「(状態が)ひどいからやったんだよ」

 約30分間の早出特打だった。昨季までのオープンスタンスから完全スクエアにする「3冠打法」に挑戦している。だが、オープン戦では打率2割と、内容も結果も伴わなかった。昨季MVPスラッガーも落ち着いてはいられなかった。

 フリー打撃の後には落合博満監督(57)とお互いにバットを持って向かい合った。構えからトップまでの動きを何度も確認した。指揮官が3冠王を3度獲得した神主打法を披露し、和田がうなずく場面もあった。

 「野球教室だよ。(バットが体の)内側に入りすぎるということもあったし、監督はどうやっていたかという話。だからと言ってまねをするわけじゃない。無駄を省くためにどうするか。よく何%くらいって聞かれるけど、どこが完成かわかっていれば苦労しない。シーズンに入ってもずっと試行錯誤は続く。今まで納得した状態で開幕を迎えたことはないから」

 常に改良を続ける和田にとって、開幕の時期は大きな問題ではない。ただ、本来ならこの日に開幕を迎えていたはずが、約3週間の“時間”が与えられた。「とにかく振っていくしかない」。チームの命運を託される主砲は究極の打法を完成に近づけるべく、バットを振り続ける。【鈴木忠平】