セ界NO・1セットアッパーの座は譲らん!

 中日浅尾拓也投手(26)が25日、封印していた魔球・パームボールを今季から解禁することを示唆した。ロッテからFA移籍で阪神に加入した小林宏投手(32)らのライバルからホールド王を死守するため、快速右腕がさらにレベルアップする。

 新たな戦いを勝ち抜くため、浅尾は“秘策”を温めていた。この日、チームメートとともに慰問した名古屋市内の名古屋第一赤十字病院で、病気と闘う子供たちに連覇を誓った。そして、そのための自分の役割も心得ている。ロッテから阪神に加入した小林宏、巨人の越智ら強力なライバルたちを抑え、セ界NO・1セットアッパーの座を守ることが優勝につながるのだ。

 「他のチームのことは意識しませんが、小林さんはすごい投手だし(阪神が)強くなるのは間違いない。久保田さんも、西村さんもいますからね」

 昨季は72試合に登板して12勝3敗、防御率1・68、日本記録となる59ホールドポイント。球史に残る活躍で逆転優勝の立役者となりホールド王の座に就いた。だが、2年続けて同じ地位に安住させてくれるほど甘い世界ではない。阪神には日本一のロッテから小林宏が加わり、久保田らと強力タッグを組む。巨人も越智らが逆襲を狙う。強力なライバルたちに勝つためにレベルアップが必要なのだ。

 「去年はパームが使えなかったので積極的に使いたい。先発の時は投げていましたが、危ないボールなので…。08年くらいからは投げないようになりました。でも、見せ球に使う分にはいいのかなと思います」

 パームボールは揺れながら縦に変化する球だが、握りが特徴的であることから打者に判別されやすい。浅尾も先発の時は頻繁に投げていたが、少しでもミスすれば本塁打される危険性も高かった。それゆえ、1球のミスが命取りとなるリリーフに転向した08年頃からは、自然と封印していた。昨季は最速156キロの直球と140キロを超えるフォーク、スライダーで打者を牛耳った。

 ただ、分析技術が発達した現代野球では同じ球種では狙いをしぼられてしまう。そこで、浅尾は危険と背中合わせのパームを解禁する可能性を探っている。打者に的を絞らせない“煙幕”となってくれればしめたもの。落合竜の誇る快速右腕が進化に成功すれば、2年連続ホールド王の座も揺るぎないものになりそうだ。【鈴木忠平】

 [2011年1月26日10時5分

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