ストーカーとは女の人につきまとう変質者のことではない。
この映画のストーカーとは、「ゾーン」という秘密の領域、聖域のようなものをツアーガイドみたいにして、案内する人物のことを指す。
一見単なる冒険もののようだが、ここはタルコフスキーによる作品だけあって、西洋哲学の最大の問題、神が扱われていることがこの映画のポイントであろう。
具体的な話は見てからのお楽しみにしておいて、私が言いたいのはなぜ、セリフが少なく、映像に重点を置いた作品であるにも関わらず、こんなにも哲学する事ができるのか、ということである。哲学とは従来、著書によってなされるものではなかったか。この映画ではセリフの少なさが視聴者に考える空間を与えており、あたかも哲学とは視覚認識によってなされるかのような印象を受ける。
受動的学習的哲学からの解放は映像的哲学に光を見いだすことができる。