ヤマハ発、サプリ事業から撤退 12月末に、累損36億円
ヤマハ発動機は16日、サプリメントなどを扱うライフサイエンス事業から12月末に撤退すると発表した。2005年に約40億円を投じて専用の研究所(静岡県袋井市)を設立し、15年には300億円事業に育てる計画を打ち出していたが、07年以降の3年間の総売上高はわずか5億円だった。固定費負担を吸収できず、累積損失は36億円に達していた。
研究所の活用法は今後詰める。49人の従業員は社内で再配置する方針。ただバイオ技術が生かせる部署が少ないことから、希望者への転職支援も充実させる。10年12月期の業績への影響は軽微としている。
同社は主力の二輪車需要の不振や急激な円高進行を受けて既存事業の再評価を実施しており、今回もその一環。記者会見した鈴木正人取締役は「市場自体が縮小しており成長が見込めないと判断した。ただ今後も成長が見込める新規事業があれば赤字でも積極的に展開していく」と話した。
ライフサイエンス事業で扱っているのは、抗酸化作用が強いアスタキサンチン原料。06年から食品メーカーや化粧品メーカーに供給し、07年には自社製品のサプリメント「アスティボ」の通信販売を始めた。自社製品は来年3月末で販売を終了する。「原料供給も取引先47社と協議し、早期に中止したい」(鈴木取締役)としている。
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