NISMOデザイン誕生のヒミツ…レース直系の「レイヤード・ダブル・ウィング」とは?

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日産 フェアレディZ NISMO
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日産自動車は23日、NISMOモデルの第5弾となる『ノート NISMO』を発表した。NISMOは長年、SUPER GTやWEC(世界耐久選手権)など国内外の様々なカテゴリーに参戦し、来年からは『GT-R』の名でルマン24時間レースに参戦することが先日発表されている。

NISMOが生み出す市販車とレーシングカーとの共通項を追う。

◆レーシングカーを設計する空力のスペシャリストも参画

NISMOの製品デザインを担当する日産自動車 グローバルデザイン本部 プロダクトデザイン部 チーフデザイナーの佐々木真治氏は、開発手法も市販のスポーツカーやアクセサリーパーツとは異なる手法でデザインを行うと話す。

「フロントバンパー、リアバンパー、サイドシル、リアスポイラー全てが機能的な裏付けがあって作られています。通常ダウンフォースを出すにはドラッグを犠牲にしなければいけませんが、2つを両立させる為にNISMOのレーシングテクノロジーを用いています。デザイナーとNISMOの空力エンジニアが一緒に開発を行っているんですが、NISMOのエンジニアはレーシングカーの設計も行っており、市販車とは異なるアプローチで開発を行っています」(佐々木氏)

どのようなアプローチなのか。佐々木氏は「デザイナーがかたちをつくるとき、スタイリングを取るか空力を取るかが悩みどころなのですが、NISMOのクルマに限っては性能を優先させるというのが大前提にあります。ドラッグが基準車以下になっているか、ダウンフォースは目標値を出しているかを厳しく管理し、数値を達成しながらも魅力的なかたちにするというのが我々デザイナーの仕事です」と述べる。

◆レーシングフィールド譲りのノウハウを注入したエクステリアデザイン

NISMOの製品は、モータースポーツ活動で培われたテクノロジーがふんだんに取り入れられているのが特徴であると佐々木氏は述べる。

「フロントバンパーをみると、デイタイムライトの部分はカナードのような形状をしており、これはNISMOの空力エンジニアからノウハウを貰って開発をしました。車両は赤いラインがアクセントになっていますが、これにも機能的な意味があり、ダウンフォースとCd値のバランスをとるためにウィングが2枚になっています。我々はレイヤード・ダブル・ウィングと呼んでいるのですが、2つのウィングで上に流れる風と下に流れる風の制御しバランスを取っていて、これもNISMOのエンジニアからノウハウを貰いました」(佐々木氏)

◆細部のディテールに宿るレース直系の証

パーツの細部をみると、ドラッグになってしまいそうな細かな箇所が目につく。数値を厳しく管理しているというが、細かいディテールについて佐々木氏に訪ねた。

「我々デザイナーもレースの場に足を運び開発を行っています。デザイナーがレースやレーシングカーのテストに同行し、現地で空力エンジニアと直接話をする中で生まれたものもあります」(佐々木氏)

具体的にどのようなアイディアが生まれたのか。佐々木氏は「GT500のマシンを見ると、面を捻ったような、いかにも空気抵抗になりそうな不思議なかたちをしている部分があります。形状をエンジニアに聞くと、風をいったん溜めて流速を変化させ、積極的に風を速く流すといった手法がとられており、これは市販車では一切行わない手法です。ノートと『フェアレディZ』のサイドシルがまさにそれで、デザイン上のアクセントではなくレーシングカーのノウハウが生かされているのです」と述べた。

《橋本 隆志》

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