2010-09-16 06:00:00
官能的な魅力に魅せられて人生が変わるかも!? ■書評■ 『モレスキン 「伝説のノート」活用術』
テーマ:知的生産術ビジネスパーソンであれば、使い方はそれぞれあるにせよ、一冊くらいは「ノート」を持ち、使用しているのではないかと思う。
もちろん人によっては、それは会社の備品であったり、100円ノートであったり、システム手帳であったり、高級ノートだったりするわけだが。
僕は、そもそも文具が好きだということもあるけれど、ここに挙げたようなものは全て使ったことがある(笑)
その結果、今落ち着いている構成はこんな感じだ。
つまり日常的に持ち歩き、使用するものはスケジュール帳とモレスキンノートということになる。
本書は、このMoleskineという高級ノートをこよなく愛する著者らによる、Moleskine活用術である。
※ そもそもモレスキンって何よ…という方は、ぜひ著者の一人である中牟田洋子さんの管理するこちらのサイトを見ていただきたいところだが、世界中に多くのファンを有する高級ノートだ。
本書のこうした書き出しを読むと「え? 要はノート術でしょ? モレスキンである必要はないよね?」と思われる方もいるだろう。
もちろん、モレスキンである必要はないのだが、人生を変えるほどのインパクトを持つ習慣を自分のものにしようと思ったら、そのツールを愛せないと無理だし、その意味ではモレスキンがベストだと僕は思う。
(残念ながら僕には会社支給のノートや100円ノートを愛せるだけの博愛精神は備わっていない。)
ヘミングウェイやピカソ、ゴッホ、チャトウィンがなぜモレスキンを愛用したのかは知らないが、それは「官能的」とすら言えるほどの雰囲気を身に纏い、どんなシーンでも携帯したいと思わせるだけの魅力があるのは確かだ。
ただ、僕自身は上記のようにノートを使い分けてはいるものの、本当に「活用」できているのかと言われれば疑問だった。
少なくとも、ここで提案されているようなライフスタイルにまで昇華されたものでは断じてなかった。
せっかく官能的な佇まいに魅了されてモレスキンを使っているのであれば、とことんまでに活用し、より仕事を、人生を豊かで楽しいものにしたいと思うのは必然の流れ。
本書は、そんな僕の要望に十分に応えてくれるものであったが、その中から特に参考になり、取り入れたいと思う点を3つほど紹介させていただきたい。
1. 何を書くのか?
特に、モレスキンの場合は1冊のお値段が馬鹿にならない(特に「たかがノート」という捉え方をしている人にとっては正気の沙汰とは思えないだろう)ので、ついつい「何を書こう?」などと身構えてしまいがちで、買ってみたはいいけれど白紙のまま…なんてことも(汗)
これでは本末転倒。
では「何を書くのか?」に対する回答とは……
個人的には、それこそ「何でも!!」だと思うが、デジタルツールなどの普及を考えると、それぞれの得意分野を意識したほうが全体として仕事や人生の効能は上がるということだろうし、確かに一理ある。
僕自身もEvernoteを活用しているし、著者の一人である堀さんは『iPhone情報整理術』『Evernote活用術』の著書をもち、Evernoteエバンジェリストを名乗るほどの方だ。
ポイントは、それほどまでにITガジェットを使いこなす堀さんが、それでもノートが人生を豊かにするために欠かせないと言っている点。
これはモレスキンノートの本だから、というわけではないのは、先の『iPhone情報整理術』においても同様のことが書かれている点から明らかだ。
少し脱線してしまったが、今の使い分け自体はそれほど間違ってはいないが、使い込みは足りなかったなという気がするので、身構えることなく書き連ねていくことにしよう。
その際に心がけておくべきは「時系列で」「その場で書き込む」「こんなことは書かないのハードルを下げる」の3点だという指摘がされていることも念のため書き留めておきたい。
(モレスキンノートに書き付けておいてもいいかもしれない。)
2. 思い出せるように書く
ノートを使い始めて挫折してきた最大の要因は、自分が書いたことの意味がわからないということかもしれない(汗)
メモだからという意識で殴り書きをしてしまって読めない…、というレベルから、キーワードのみ書いてあるけれど何のことだか思い出せない…というレベルまで、後に意味を成さないメモ書きの屍たちを積み上げてきた。
そんな失敗を繰り返してきた僕のような人には、大変ありがたいアドバイスをいただけた。
ちなみに、堀さんは「自分自身が最初の読者となるエッセーを執筆しているような気持ち(p.61)」で書き留めているそうだ。
最初はちょっと照れそうだけど、そんな点も見習わせていただきたい(もしかしたらブログの文章力とかあがっちゃうかも!?)
3. 家族との思い出を記録する
これも全く出来ていないなあというもの。
日記でもいいんじゃないの?と思うかもしれないけれど、僕を含めた多くの人はそれが続かないから苦労してきたはず。
わが家では妻が写真とともに日記をつけているので、妻の方が確実に色々なことを覚えている。
僕は妻の日記に大変助けられているけれど、あくまでも妻の視点で書かれたものであるということを考えると、それぞれの視点で記録しておくことは重要だ。
僕のようなタイプの人は、これまでに何度かの日記挫折体験があるため、「日記帳」「ダイアリー」といった専用ノートは敷居が高いだろうから、日々のアイデアなどを書き込むために持ち歩くモレスキンに書いてしまうのがちょうどいい。
実際、記憶を辿るときには、仕事であれをやっていた時期だな…とか時系列で手繰り寄せると、当時のことが立体的に浮かんでくるので、雑多な中に放り込まれているくらいが合っているかもしれない。
最初は、仕事のことを書きつけたその横に家族との思い出が書かれていることに、最初は違和感を感じそうだなあと思ったけれど、よく考えてみれば職場に子どもの写真を飾ったりしているのだから、何ら変わらないんだろうなと考え直して、是非とも実践したい。
繰り返すが、ここで取り上げた3つのことはモレスキンじゃなくても出来る。
それでも、個人的には、やはりモレスキンであることに意味があると思っているが、分からない人にはきっと理解の出来ない世界(一種ヲタク的な世界)がそこにあるとも思う。
けれど、一度使ってみれば、人生を豊かにするためのツールとしての、モレスキンの放つ官能的な魅力はきっと分かる。
ただ、著者(恐らく堀さん)だってロディアなどの別のメモ帳も併用していると書いているし、僕もスケジュール帳は感覚的にモレスキンは合わないので変えようと思わないように、すべてをモレスキンにする必要はないので、そこは目的を見失わないことが肝心だ。
本書はこうした「ノート術」的な内容に加えて、モレスキンならではDIYカスタマイズ術や、モレスキンと相性のいい文房具の紹介なども紹介され、まさにトータルでモレスキンを愛おしむ様子が伝わる内容になっている。
あなたがモレスキンを既に使っているのなら、あなたの人生をより豊かにするためのよい刺激として、あなた自身がモレスキンをもっと愛して使いこなすために是非読んでみてほしい。
もし、まだモレスキンを使ったことがないのなら、ぜひ手始めに本書とセットで一冊お買い求めいただくことを薦めたい。
本書の内容は、一般的に使える「ノート術」としても極めて有効なので、その程度の元はすぐに取れるはずだから。
■ 関連リンク
堀正岳ブログ: Lifehacking.jp
堀正岳Twitter: @mehori
中牟田洋子サイト: moleskinerie.jp[モレスキナリー]
中牟田洋子Twitter: @YOKOnotes
本書公式サイト: モレスキン 「伝説のノート」活用術 公式サイト
■ 基礎データ
著者: 堀正岳、中牟田洋子
出版社: ダイヤモンド社 2010年9月
ページ数:260頁
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